鹿島など国内のゼネコン4社のJVが、アルジェリアの高速道路建設工事で総額800億円超の損失発生の見通しであるという記事。鹿島が他のJV構成会社3社に見通しを提示したのだそうです。
「高速道路工事は06年9月に鹿島、大成、西松建設、ハザマが出資する共同企業体(JV)が契約を獲得し、受注金額は約5400億円。10年2月に完成予定だったが、現場は地質が悪い上、治安悪化により安全確保に手間取ったことから、工事の進捗(しんちょく)率は約7割にとどまっている。アルジェリア政府との工期の遅れによる追加負担をめぐる交渉は暗礁に乗り上げ、鹿島は多額の損失計上もやむを得ないと判断したとみられる。」
「・・・鹿島の提示額はこれ(注:当初の損失見込み額)を大きく上回り、3社は反発している。」
JVは、その構成会社とは別の組織ですが、各構成会社の会計上は、比例連結的に、JVの財務数値の持分相当額だけを取り込みます。鹿島以外の構成会社は損失見込みが大きすぎるといって反発しているそうですが、現時点では、会計上の見積りにすぎません。自社の決算上は自分で適切に損失を見積もって計上することは可能です。ただし、スポンサーである鹿島が出してきた数字を覆すだけの根拠がなければ、会計監査ではおそらく認められないでしょう。もちろん、鹿島が出した見積り自体も、甘い数字でないのか、各社とも十分検討する必要があります。
ところで、手元の参考書をみると、IFRS(IAS31号)でも、共同支配下にある営業活動は、投資企業側で、資産、負債、費用、収益の持分相当額を認識するのだそうです。日本のゼネコンがやっているJVがこれに当てはまるのかどうかはよくわかりません。(裏JVなどというややこしい形態もあるので、ますますわからなくなります。)
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