会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

監査法人及び公認会計士の処分等について

監査法人及び公認会計士の処分等について:金融庁

金融庁は、株式会社セタが作成した財務書類について証券取引法に基づく監査証明を行った監査法人夏目事務所とその監査証明に係る業務執行社員であった公認会計士に対する調査の結果に基づき、2008年10月24日付で処分及び懲戒処分を行いました。

監査法人は業務の一部の停止1ヶ月(契約の新規の締結に関する業務の停止)、業務執行社員2名は業務停止3ヶ月です。

業務執行社員に関しては、2007年3月期の財務書類に係る監査において、売上のカットオフの検証手続や売掛金残高確認の手続に不備があり、相当の注意を怠ったとされています。

「1)公認会計士1名は、売上の監査に関して、最終出荷分にかかる証憑を入手したものの、期間帰属の適正性を確認する手続である期末日前後の売上伝票等の通査を実施しておらず、当期の売上に関する証憑の中に、当該最終出荷分よりも後に出荷された可能性を示す証憑があることに気づかないなど、情報の正確性及び網羅性に関する監査証拠の入手及び検討を怠っていた。

また、売上にかかる証憑において、関係証憑間において売上先名や製品受領日が異なっているという矛盾について、その理由等を確認しておらず、監査証拠として利用する情報の信頼性の検討を怠っていた。

さらに、セタの監査計画で定めた重要性の基準値を上回る売掛金残高のある得意先からの残高確認書が未回収、かつ、代替手続が未完了にもかかわらず適正意見を表明しており、売掛金に関して十分かつ適切な監査証拠の入手を怠っていた。

2)公認会計士1名は、売掛金の監査を担当していたが、未回収となった残高確認書の回収をもう一人の業務執行社員に任せ、その後の確認を怠っていた。

また、たな卸資産の確認に関して、最終出荷分にかかる証憑を入手したものの、当該証憑と他の出荷に係る証憑等との間の前後関係を確認せず、出荷にかかる証憑間の不整合の可能性に気づかないなど、監査証拠として利用する情報の信頼性の検討を怠っていた。」

セタの不正は「取引先と共謀し製品の出荷・受領に関する証憑を偽造するなどの方法により、本来、平成20年3月期に計上すべき売上806百万円を平成19年3月期の売上として計上した」というものです。取引先との共謀があったとすると、他の会計士が手続をしても発見できなかった可能性はあります。詳しい背景まではわかりませんが、非常に厳しい処分だと思います。

当サイトの関連記事
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「金融庁」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事