米主要500社のうち24社が、2019年度(決算未発表の企業は直近四半期)に債務超過になっているという記事。
「2019年はスターバックスやボーイングなどが加わり、債務超過額の合計は650億ドル(約7兆2千億円)と金融危機だった08年以来の高水準となった。低金利で借り入れた資金を使って利益を上回る自社株買いや配当を実施し、資本を取り崩したためだ。」
業績不振でも配当や自社株買いなどで資本を取り崩しているそうです。
「ボーイングは「737MAX」の運航停止問題で、19年12月期は6億ドルの最終赤字に陥った。それでも46億ドルの配当や26億ドルの自社株買いなど株主還元策を実施して資本を取り崩し、83億ドルもの債務超過となった。債務超過は08年以来で、超過額も当時の6倍以上だが、デビッド・カルホーン最高経営責任者(CEO)は「将来劇的な変化が起こらなければ配当を続ける」と言い切る。」
背景は...
「米企業では財務の健全性より利益を株主に還元することを優先する意識が強い。株価上昇に連動し経営陣の報酬が上がる仕組みをとる企業も多く過去数年は株価重視の利益分配が強まっている。
債務超過に陥ると金融機関の融資が受けにくくなる日本と異なり、米国では債務超過がすぐに経営不安にはつながらない。収益から投資額を引いたフリーキャッシュフロー(純現金収支)の黒字が続く見通しなら、借金返済を迫られる懸念は小さいためだ。」
日経記事の表でもっとも債務超過額が多いフィリップモリスのアニュアル・レポートをみてみると(ただし2018年版)、たしかに債務超過になっています。

(左側が2018年。単位は百万ドル)
107億ドルの債務超過ですが、自己株式353億ドルもあり、これがなければ、プラスです。
監査報告書(監査人はPwC)(アニュアル・レポートの110ページ)もみてみると、ゴーイングコンサーンについては特にふれていないようです。