米連邦裁、PwCに過去最大規模の賠償金支払いを命令（WSJより）

米連邦裁、PwCに過去最大規模の賠償金支払いを命令

米PwCが、コロニアル・バンクという米アラバマ州の銀行の破綻を招いた詐欺を見抜けなかったとして、米連邦裁判所から、6億2530万ドル（約693億円）の損害賠償を支払うよう命じられたという記事。

「今回の判決は、監査法人の過誤に対する賠償金や支払い命令としては過去最大規模のもの。4大会計事務所による監査の質に不安が高まっていることを示す判断となった。コロニアル・バンクは2009年に破綻している。

損害賠償の支払い命令は、連邦地裁のバーバラ・ジェイコブス・ロススタイン判事による昨年12月の判決を受けたもの。同判事はコロニアル・バンクの銀行持ち株会社の社外監査役を務めていたPwCが、同企業の主要取引先による大規模な詐欺を見落とす過失をおかしたと述べた。このスキームが後にコロニアル・バンクの破綻へとつながった。同行の破綻は金融危機時の米銀破綻としては最大規模のものだった。

破綻先の管財人だったPwCは、米連邦預金保険公社（FDIC）に提訴されていた。ロススタイン判事は判決の中で、6億2530万ドルが適切な賠償額であるとFDICの主張を受け入れた。PwCはその半額以下の賠償額にとどめるよう判事に求めていたが、ロススタイン判事は「信頼にたる証拠もあり、十分根拠がある」金額だとした。」

「監査役」という訳語は変で、普通に「監査人」のことでしょう。

PwC ordered to pay $625m damages over Colonial audit（economia）

この銀行は、モーゲージローンの貸し手であったTaylor, Bean & Whitaker社 (TBW)と共謀して巨額の不正を行っていましたが、PwCは、任務懈怠によりその不正を発見できず、米連邦預金保険公社が大きな損失を被りました。

Barbara Rothstein, US district judge in Alabama, said PwC’s negligence in failing to uncover a massive fraud between the bank and its customer, mortgage lender Taylor, Bean & Whitaker (TBW), meant it owed damages to the Federal Deposit Insurance Corporation (FDIC) as receiver of the bank.

この不正は、TBW社の会長が、上級副社長を含む銀行の何人かの従業員の助けを借りて、仕組んだもので、2002年から行われていました。2009年に発覚した時点では、20億ドルもの資産が銀行から流出していました。

The fraud was orchestrated by Lee Farkas, TBW’s chairman, with the help of several colonial employees, including senior vice president Catherine Kissick. It began in 2002 but was not discovered until 2009, by which time more than $2bn assets had been diverted from Colonial, once one of the 25 largest banks in the US.

Ten days after both companies were raided by the FBI and the US Treasury Department in August 2009, the State of Alabama Banking Authorities closed down the bank and appointed the FDIC as receiver.

PwCは銀行の管財人だけでなく、不正共謀の相手側の会社の管財人からも巨額の賠償請求を受けています。（不正の手口にも少しふれています。）
↓
当サイトの関連記事

米デロイトもこの事件に関連して訴訟を起こされ、149.5百万ドルもの和解金を支払っています。
↓
当サイトの関連記事

PwC must pay FDIC $625.3 million over bank's collapse: U.S. judge（ロイター）