会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東証新上場規則:企業の収益力強化 経営チェックに期待(毎日より)

東証新上場規則:企業の収益力強化 経営チェックに期待

日本取引所グループが、独立社外取締役を2人以上選任することを促す東証上場規則を発表したという記事(正確にはまだ「案」のようです。)

「日本取引所グループ(JPX)は24日、東京証券取引所に上場する企業に対し、独立した社外取締役を2人以上選任することを促す上場規則を発表した。」

「多くの日本企業の経営者は、しがらみを抱えて不採算部門撤退といった痛みを伴う改革を先延ばししたり、資本を十分に活用しなかったりして、欧米よりも低い利益率に甘んじてきた。JPXの斉藤惇最高経営責任者(CEO)は24日の記者会見で「(日本企業は)つぶれないように安定経営すればいいとやってきた」と指摘する。」

「欧米では取締役会は社外が過半数を占める企業が多く、経営を監督する役割に徹し、業務の執行とは一線を画する。これに対し日本では、取締役が監督と業務執行を兼ねるケースが多く、経営を監視する機能が働きにくいとの指摘は根強い。

経営をチェックする監査役はいるが、取締役よりも“下”と見られるケースが多く、十分に役割を果たしているとは言えない。・・・」

「監査等委員会設置会社」が「抜け道」だといっています。

「「抜け道」もある。5月の改正会社法施行で、監査役が取締役を兼務する新制度「監査等委員会設置会社」がスタートする。従来の監査役よりも発言権を強めてチェック機能を強化する狙いだ。最近は、この監査等委員会への移行を宣言する企業が相次いでいる。

チェック機能が強化されればいいが、心配なのは、社外取締役新任の手間を省くために使われる事態だ。現行でも監査役は2人以上を社外から招いているため、取締役、監査役を含む役員はそのままで新制度に移行すれば、現行の社外監査役が社外取締役に移るだけで、取締役の顔ぶれは変わらなくなる。・・・」

こちらの日経の記事の方が正確かもしれません。

東証、「社外取締役2人以上」規則案を発表
郵政上場の特例も
(日経)

「東京証券取引所は24日、独立性が高い社外取締役を2人以上選ぶように促す上場規則案を6月1日メドに実施すると発表した。金融庁と東証が取り組む企業統治指針「コーポレートガバナンス・コード」の一環で、昨年12月の有識者会議による原案を踏まえて作成した。選任しない場合は、その理由を上場企業に提出を求めているコーポレート・ガバナンス報告書で説明しなければならない。」

コーポレートガバナンス・コードの策定に伴う上場制度の整備について(東証)(PDFファイル)

以下、東証資料より抜粋。

・市場第一部・市場第二部・マザーズ・JASDAQの上場会社は、コードを実施しない場合には、その理由を説明するものとします。

・「コードを実施しない場合の理由の説明」は、コーポレート・ガバナンス報告書に欄を新設して記載するものとします。

・上場会社が独立役員を指定する場合には、当該独立役員と上場会社との間の特定の関係の有無及びその概要を開示するものとします。

マザーズ・JASDAQ については、コードの「基本原則」部分が対象となります(上記資料備考より)。

最後の点は従来から少しゆるくなった部分です。

「これまで、主要な取引先の元業務執行者など過去において上場会社と特定の関係を有していた独立役員については、それでもなお独立性ありと判断した理由の説明を求めてきたことを改め、すべての独立役員について等しく情報の開示を求めることにより、上場会社が独立性を判断する際における過度に保守的な運用を是正しようとするものです・・・。」

2015年 6 月1日を目途に実施予定となっています。

当サイトの関連記事(「コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方(案)」について)

コーポレートガバナンス・コードに伴う東証の上場制度整備案(大和総研)
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