会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝「負の遺産」、実は1兆円超え!?(現代ビジネスより)

東芝「負の遺産」、実は1兆円超え!? 発表された赤字額の他にもまだまだウミは残っている

東芝の「レガシーコスト(負の遺産)」は、公表されている以外にもまだあるという記事。

まず、先日発表された業績予想で明らかになった分。

「東芝が発表した資料によると、営業損益段階での今年度の業績悪化分は3454億円、これに加えて資産評価減を1100億円、構造改革等の費用として2300億円を見込むという。さらに営業外の費用として、構造改革で300億円、その他で1100億円を見込んでいる。業績悪化分を含まなくても4500億円のレガシーが表面化したのである。

ちなみに営業外で1800億円の有価証券売却益を見込んでおり、これがなければ7300億円という最終赤字になる。あの日産自動車にカルロス・ゴーンが乗り込んできてレガシーを一気に処理した2000年3月期の赤字は、製造業で過去最大の6800億円という巨額だったが、それを上回る規模のレガシーを東芝が抱えていたことをうかがわせる。」

まだはっきりしない分は...

「繰り返し指摘されているように、2006年に買収して子会社化した米原子力大手ウエスチング・ハウス(WH)の「のれん」を抱えたままになっているのだ。発表資料ではWHの帳簿上の資産価値は7200億円で、3700億円が固定資産など、3500億円が「のれん」となっている。...

この「のれん」を巡って監査法人と激しく対立していたことが報じられているが、これも「レガシー」として残っているのだ。会見資料には「原子力事業等ののれん及び固定資産の減損判定については、決算確定に向けて減損テストを実施し、その結果について適宜ご報告します」としている。」

株主資本への影響は...

「「東芝の含み損は1兆円らしい」「債務超過にはならないが、そのギリギリの線」--。4月に東芝が「不適切な会計処理」があったとして、不正決算を明らかにした頃、首相官邸の政治家たちの間でそんな会話が交わされていた。

当時公表されていた東芝の決算書では、2014年3月期の連結株主資本は1兆2290億円。その後、東芝が決算を修正し、2014年3月期までで2781億円を減額したこともあり、1兆272億円になっている。東芝が発表した5500億円の赤字を前提にした今後の見通しでは、株主資本は来年3月で4300億円になる。

これにはWHの減損処理は含まれていないので、仮にその処理が求められると、株主資本はほぼ底をつく。つまり、東芝が背負ってきたレガシーは1兆円に達する可能性がありそうなのだ。官邸で語られていた噂は、あながちウソではなかったということになる。」

「東芝が本気で再生を目指すならば、しがらみのない外部の経営者を招き、全権をゆだねて過去と決別することだろう。ここで一気にレガシーの処理を行えなければ、東芝の復活は永遠にあり得ない。

人の「レガシー」も同じ。「チャレンジ」を支えてきた幹部がそのまま居座り、中途半端なリストラを繰り返して数字合わせに汲々としているようでは、クビになって会社を去っていく東芝の有能な社員たちが浮かばれない。」

次年度監査契約を辞退した監査法人にレガシーの一掃を期待しましょう。厳しい処分を課した金融庁もそれを望んでいるのでは。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事