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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

監査報告書の拡充(長文化)(大和総研より)

監査報告書の拡充(長文化)

会計監査の在り方に関する懇談会などでもふれている監査報告書の拡充について取り上げた一般向け解説。

「3月の提言は、「会計監査の内容等に関する情報提供の充実」の一環として「監査報告書の透明化」も提言している。監査報告書の改善に向けては、既に、国際監査基準(ISA)を設定するIAASB(国際監査・保証基準審議会)が2015年1月に6本の新しいISAを公表している。新しいISAでは、監査上の主要な事項(KAM)を監査報告書に記述することを求めている(※1)。KAMとは、「当年度の財務諸表監査で最も重要な事項」であり、監査法人・公認会計士が外部監査人として企業のガバナンスの責任者(監査委員会の委員など)とコミュニケーションを行った事項の中から決定される。対象年度の会計監査において、虚偽表示等(虚偽記載や誤謬)のリスクが高い項目として、監査法人・公認会計士が多大な注意を払って監査をした項目といえる。新基準ではKAMに関して次の①~③の記載を求めている。

①財務諸表に関連する情報が開示されている場合は、その情報への参照
②当該事項が監査にとって重要であり、KAMであると判断した理由
③当該事項に対する監査上の対応

既に英国では、類似の制度が、2012年10月1日以後に開始した事業年度から導入されている。英国の制度の場合は、さらに、監査法人・公認会計士が、会計監査を行う上で重要性を判断する際の具体的な数値基準についても開示している。

英国のFRC(財務報告協議会)が実施した調査によれば、監査上のリスクの高い項目として挙がっているのは、のれんの減損、税効果、収益、資産の減損、引当金、年金など、経営者の判断や見積もりが関与する度合いの高い項目である。」

記事では、国際監査基準(ISA)の新基準を、わが国はまだ受け入れていないという注がついていますが、会計士協会の大方針としては、国際監査基準はそのまま受け入れるということなので、懇談会の提言に含まれていることもあり、検討をすすめているはずです。監査基準委員会報告書の改正として、そのうちに公表されるでしょう。(それに合わせて、企業会計審議会の監査基準の改正もあるはず)

監査人の今後の関心事は、会計基準では収益認識、監査基準ではKAMということになるでしょう。さしあたり、監査役とのコミュニケーションの中で、KAM的な事項を報告するという形で、事前準備していくのでは。

企業や財務諸表利用者への影響は不明ですが、空売りファンドのネタ探しに使われる可能性はありそうです。

英FRCの報告書について(上記解説でふれているものと同じかどうかはわかりませんが)

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(補足)

「企業のガバナンスの責任者」のことを、日本基準では監査役等といっていますが、委員会制度に移行する会社も増えてきて、用語に無理が生じているように思われます。
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