経理財務のためのサステナビリティ情報開示最前線 ~ CSRDの本場欧州ドイツから 第1回 CSRDの概要
EUの企業サステナビリティ報告指令の解説記事。日本企業は、欧州の子会社だけが対応すればよいというものではなさそうです。
「昨今、CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive:企業サステナビリティ報告指令)への対応がEU域内に拠点を置く企業の急務になっている。CSRDは適用範囲が広く、EU域内の現地法人(EU事業者)のみならず、EU域外の事業者も「第三国事業者」としてサステナビリティ情報を開示する必要がある。そのため、日本企業にとっては、EU域内の子会社だけでなく、日本の親会社もCSRDへの対応が必要である。また、CSRDはサステナビリティ情報の開示指令であるため、サステナビリティ部門が対応の中心となることが考えられるが、経理財務部門の関与も必要である。これは、開示するサステナビリティ情報は監査の対象となるため、サステナビリティに関する全社統制や各業務処理統制の構築、監査対応のためのエビデンス準備、保証付与者である監査法人等との事前の協議が必要であることから、内部統制や監査対応の経験および知見を持つ経理財務部門の関与が重要であるためである。」
どういうグループで報告するのかという報告方法について、3つの方法があるそうです。「日本の親会社がグローバル連結レベルで、ESRSまたはそれと同等の基準で作成した(グローバルレベルの)連結サステナビリティ報告を行う」という方法が、一番たいへんそうですが、連結とは異なるグループあるいは会社ごとで開示するとなると、それはそれでたいへんそうです。
最後の方で、あっさり書いていますが、第三者保証の対象については...
「第三者保証はサステナビリティ報告で開示される情報や数値だけでなく、CSRDの適用企業の判断やマテリアリティ評価の結果、ガバナンス、プロセス、内部統制の十分性も対象になると考えられる。」
環境問題などに特に深い知見もないような会計士ができるのでしょうか。
保証付与者については...
「CSRDでは保証付与者について「サステナビリティ報告は財務諸表の監査人または監査法人によって監査される。」と規定されている。各EU加盟国が上記以外の保証付与者が監査意見を表明することを認めることも可能であるが、サステナビリティ報告が同じ会計年度の財務諸表と一致していることを監査報告書で表明することが求められている点、監査および保証に関する十分な経験および知見、監査人に対して職業倫理の遵守、独立性、客観性等を求めていることを踏まえると、財務諸表の監査人または監査法人以外が監査意見を表明することが可能になることは小さいと予想される。」
詳しくは上記解説記事本文をご覧ください。
あと2回、連載が続くそうです。
日本のルールは、欧州と米国の規則からいいとこ取りをするのが慣例なので、EUに子会社がなくても、そのルールの概略を知っておく意味があるかもしれません。