東芝EIコントロールシステムという東芝の子会社で粉飾決算をやっていたという記事。
5億2000万円の売上過大計上だそうです。
「同社の営業課の従業員が注文書などを偽造し、2003年以降、実際の契約金額を上回る売り上げを計上していた。」
東芝 子会社が売り上げ5億円余過大計上の不正(NHK)
「東芝によりますと、子会社で、インフラの監視システム事業を手がける「東芝EIコントロールシステム」で、平成15年以降、営業担当者が顧客からの注文書などを偽造し、売り上げを過大に計上していたということです。
ことし9月、回収が滞っている債権を調べる過程で、今回の不正が発覚し、9月末までの合計でおよそ5億2000万円が売り上げとして過大に計上されていました。
東芝によりますと、システムの製造コストが想定を上回った場合は、顧客と追加の費用について交渉する必要があるのに、それを怠り、顧客を装って架空の追加注文を繰り返していたということです。」
「東芝は、去年4月に過去の決算で税引き前の利益をかさ上げした不正会計が発覚し、東京証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定されて、再発防止に取り組んでいました。」
東芝子会社、売上5.2億円過大計上 社員の処分検討(朝日)
「製造コストが増えた分を上乗せする取引先との交渉を怠ったまま「未回収金」として処理し、責任者も資料の確認を怠っていた。」
過年度訂正は行わず、第2四半期で処理してしまったようですが、絶対額からすればそれなりの金額であり、また粉飾していた期間も長く、悪質です。並の上場会社なら訂正報告書かもしれません。東芝本体の粉飾があれほど問題になり、連結グループ全体でも点検しているはずなのに、それが徹底していなかったのであれば、もう少し「特設注意市場銘柄」にとどまって様子を見る必要があるでしょう。
ただし、手口としてはよくありそうなものです。本来は、顧客との間で追加作業の負担について合意(契約)してから作業に取りかかればよいのでしょうが、そうはいかない場合もあるのでしょう。それでも、その後交渉して合意できたものだけを追加売上計上すればよいのですが、見込みで計上してしまって、フォローもしていなかったのでしょう。(とはいえ、2003年から滞留していたのなら分かりそうなものです。何か細工をしていたのか、単に管理がずさんだったのか...)
当社子会社(東芝EIコントロールシステム株式会社)における売上過大計上について(東芝)
「当社では、当該過大計上を把握できたことは、当社グループにおける内部統制機能が有効に機能しはじめたためであると認識しておりますが、グループ全体の更なる内部統制の強化を推進していきます。」
今までがよほどひどかったのでしょう。
まだ「内部統制機能が有効に機能しはじめた」段階だとすれば、内部統制が完全に機能するには時間がかかりそうです。
当社従業員による売上過大計上について(東芝EIコントロールシステム)(PDFファイル)
「当社のある営業課において特定の顧客を担当する担当者が、2003 年以降、実際の契約金額を上回る額で売上を計上しておりました。その過程で同担当者は、売上計上に必要な根拠資料として、将来売上予定の他案件の注文書・検収書の流用や、注文書・検収書の偽造を行っておりました。
売上過大計上に伴い滞留債権が発生しておりましたが、同担当者から回収可能と報告されていたためにこの不正を長期間発見することができませんでした。 この結果、過大売上の累積額が2016 年9 月末時点で5.2 億円まで拡大しておりました。」
「本事案は、製作コストが増加した場合には本来顧客への追加注文交渉が必要となるところ、製造部門には追加費用を安易に認め、顧客に対しては追加交渉を怠り、売上の過大計上に及んだものです。また、会社規程では売上計上に当たり責任者が注文書・検収書を根拠資料として確認することが必要ですが、本事案では責任者が根拠資料の精査を怠り、規程が正しく運用されておりませんでした。」
東芝、純利益3.1倍でも「財務体質は依然として厳しい」--子会社で売上過大計上も(CNET)
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