トヨタ自動車系で自動車マフラー大手のフタバ産業の社長が、粉飾決算問題で引責辞任するという記事。
不正の内容・手口については、社内調査委員会の報告書に詳しく出ています。
社内調査委員会の調査報告書について(PDFファイル)
(1) 建設仮勘定の本勘定への振替漏れとそれに伴う減価償却費の計上不足
(2) 仕掛品の売上原価への振替漏れ
(3) 据付調整費の資産性の根拠不足とそれに伴う期間費用の一括計上
の3点が、主な修正事項とされています。この中で金額的には(3)の影響が最も大きいようです。
社外調査委員会の調査報告書について(PDFファイル)
監査法人については以下のように述べています。
「(5)監査法人
過年度決算訂正の発端となったのは、監査法人が、平成20年3月期監査において、建設仮勘定の明細書の提出を求めたが、会社から提供がなされなかったことによる。そして、そこから、金型についても明細を求めたところ、仕掛品勘定と建設仮勘定の不適切な処理が判明し、訂正報告書を提出するに至ったとのことであった。 平成17年度から平成20年度までの監査報告概要および中間監査報告により、トライ費用の配賦の問題や、特定の工場での建設仮勘定の問題や稟議書不遵守の問題等につき、個別に指摘し、その改善を求めている。にもかかわらず、建設仮勘定が毎年多額に増加していたのであるから、その異常な兆候を、会計専門家として早期の段階で、気付くことができなかったのかという疑問が残るところである。」
また修正事項(3)の関係で以下のように監査法人に責任転嫁するような記述もあります。
「・・・監査法人の指摘は、「5段階活動費自体の資産性は認めることができるが、費用の把握の証憑が保存されていないため、金額の妥当性について検証ができない。従って、カイゼン活動と同様に期間費用として会計処理すべきである。」というものである。この指摘が事実とするならば、監査法人は5段階活動に関するフタバ産業の会計処理を適法なものであったと認めつつ、その処理を裏付ける会計証憑が保存されていないことのみを理由として、過年度の訂正報告を求めたことになる。
しかしながら、それは過年度の決算において、5段階活動費の適切な会計処理の前提となる会計証憑と照合することなく監査意見を表明していたことを意味するのである。監査法人が実施した過去の監査手続において、会計証憑の保存を確認しその照合手続を怠ってさえいなければ、5段階活動費に関しては、訂正処理する必要はなかったとも考えられる。」
どういう証憑を保存すべきかを監査人が決めるようなことをいっていますが、まったく的はずれの指摘だと思います。
フタバ産業社長、今月末辞任 不適切会計処理で引責
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