「中小企業の会計に関する検討会」での検討状況を取り上げた記事。日税連の委員が「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」について意見を提示したそうです。
「わが国の会計制度、とりわけ企業の大部分を占める中小企業の会計について検討している「中小企業の会計に関する検討会」が現在、ワーキンググループ(座長:弥永真生筑波大学ビジネス科学研究科教授)による検討を進めているが、委員の一人である上西左大信日本税理士会連合会調査研究部特命委員が、「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」について意見を提示していることが、このほど明らかになった。
まず、「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」につき、共同事務局である中小企業庁・金融庁及びテクニカルアドバイザーがまとめた案が、「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」といえるのかについて、法務省及び企業会計基準委員会の意見を正式に伺いたい」との意見を提出。「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」といえない場合は、日税連として賛同(普及)できないこととなる、としている。」
「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」は「・・・企業会計の基準」より幅が広いといわれていますが、最終的にどのような整理になるのでしょうか。
これだけでは、議論の中身がわからないので、中小企業庁のサイトに掲載されている議事要旨(7月が最新)をみてみました。
中小企業の会計に関する検討会 第7回ワーキンググループ 議事要旨
「会計慣行」の問題については、この回ではふれていませんが、減価償却について以下のような議論がなされていて、気になりました。
「固定資産の減価償却に関して、公開企業では規則性が必要であると考えるが、中小企業においては、規則性は必ずしも必要ではない。減価償却をしなくてよい訳ではないが、規則性は相当の減価償却の典型的な例というだけであり、規則的な減価償却に限定するのはおかしい。」
「中小企業には外部に投資家がいないので、必ずしも規則的な償却を求めなくてもよいのではないか。相当の償却の範囲内で経営者や税理士等がその償却の範囲を判断すればよいのではないか。」
たしかに、赤字になりそうな場合など、減価償却を毎期規則的に法定限度額ぎりぎりまでやらない方が会社にとって税務上有利になる場合がありますが、だからといって、会計のルールに規則的に償却しなくてもよいと書いてよいものなのでしょうか。
規則的な減価償却を行わないのも「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」だといいきるのは勇気がいることでしょう。
むしろ、会計と税務を完全に分けてしまうことが必要なのかもしれません。
こちらのサイトで引用されている業界紙の記事によれば、「来月(注:10月)にも素案を公表する予定」だそうです。
↓
“中小企業の新会計”公表迫る
当サイトの関連記事(検討会第1回について)
(補足)
9月に開催されたワーキンググループの議事要旨が公開されました。
↓
中小企業の会計に関する検討会 第8回ワーキンググループ 議事要旨(中小企業庁)
現行の中小企業会計指針のように総論と各論があり、各論の方は固まったようです。
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