旧グッドウィル・グループによる人材派遣会社クリスタルの買収を巡り、仲介した投資ファンドが06年、約380億円の利益を得ていたという記事。
ファンド運営者の一人の公認会計士が適正な税務申告を怠っていたとされ、東京地検が脱税容疑で捜査を進めているとのことです。
「この投資ファンドは「コリンシアン投資事業有限責任組合弐号」(東京都港区、07年9月解散)。会計士は当時、投資会社「コリンシアンパートナーズ」(港区、コ社)の代表取締役を務めており、ファンドはコ社が代表者となり、06年8月に設立された。」
「・・・GWGは提案を受け入れ、06年10月31日、自社が100%出資する団体を介してファンドに約882億円を支払い、ファンドの保有するクリスタル株3万8190株(全発行済み株式の67%)を買い取った。
ファンド関係者らによると、ファンド側が取得したクリスタル株は5万1825株に達する一方、買い取り額は約500億円に過ぎず、差額に当たる約380億円とクリスタル株1万3635株がファンド側に残った。ファンドにはコ社のほか複数の投資家が出資していたため、約380億円は出資者間で分配され、会計士はその後、不正な経理操作で所得税を免れた疑いがあるという。」
脱税容疑で捜査中というのは新しい情報ですが、このファンドがグッドウィルを手玉にとって巨額の利益を得たということは、すでに報道されています。
当サイトの関連記事(読売新聞より)(注:記事中のリンクは切れています。)
要するに、クリスタル株の実際の取得原価と違ううその原価を買収側であるグッドウィルに報告し、利益を得ていたということのようです。ただし、グッドウィルがだまされていたとしたら、グッドウィル側で何らかのアクションを起こしてもおかしくないはずですが、そうした動きは聞かないので、だまされたという認識はないのでしょう。
公認会計士が金融ブローカーとして怪しげな取引にかかわったというだけでは、金融庁や会計士協会による処分の対象にはなりませんが、脱税ということになれば、そうはいかないでしょう。
所属する監査法人から横領した会計士、インサイダー取引で告発された会計士など、常識外れの会計士の話が最近続いています。
闇にうごめく投資家たち
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