会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

どこまで続く電通・高橋「再逮捕」の連鎖…底なしの五輪汚職に迫った特捜の狙い(現代ビジネスより)

どこまで続く電通・高橋「再逮捕」の連鎖…底なしの五輪汚職に迫った特捜の狙い

東京五輪汚職事件の記事。いままでのところの全体像が描かれています。

オリンピック招致のときから,あやしい金が動いていました。

「高橋容疑者(五輪組織委元理事・電通元専務)は、東京五輪・パラリンピック大会の招致において最大級の功労者だった。世界のスポーツ界に築いた人脈を駆使してIOC(国際オリンピック委員会)の五輪誘致の票を持つ委員に根回し、2013年9月、誘致成功に導いた。

証明するように招致活動の間に招致委員会が振り込んだ工作費のトップがコモンズ(高橋容疑者の会社)で、第2位の電通を大きく引き離す9億5824万円だった。」

「9億円強の工作費はIOC委員らの高級時計、宝飾品などのプレゼント、飲食の接待、その他に使われ、高橋容疑者は諸経費に顧問料をプラスした。」

フランスなど海外の当局は、積極的にあやしい工作資金の流れを調べていましたが...

「検察にとって五輪が、誘致の段階からカネまみれであるのは許し難いものだった。しかも東京五輪誘致の捜査に着手したのは仏検察であり、場合によっては竹田恒和・招致委理事長(日本オリンピック委員会=JOC会長)を逮捕されかねなかった。

仏検察は、招致委が五輪誘致票を持つディアク・国際陸上競技連盟元会長の裏ガネ口座に約2億3000万円を振り込んだ事実を掴んでいた。仏検察の要請に応じて、特捜部は竹田理事長の供述調書を取るなど捜査協力したが、「言い分を聞きました」というやる気のないものだった。」

「他国の捜査機関にJOC会長の身柄を取られるなど屈辱以外の何物でもなく、おざなりに対処した。同時に検察には、仏だけでなく、米司法当局、スイス検察当局、ブラジル司法当局など各国が、国際スポーツの祭典に乱れ飛ぶ「怪しい工作資金」の解明に乗り出していることもあり、世界の趨勢に合わせる意味を含めて東京五輪事件に踏み込まざるを得なかった。」

東京オリンピックの組織委は、国内スポンサーから3761億円集めました。

「ここまで国内スポンサー分を積み上げることができたのは、選任代理店となった電通の力である。電通は、組織委を説得、IOCと交渉することで「一業種一社」の原則を外した。これにより参入を希望する多くの企業が、1社150億円のゴールドパートナー、60億円のオフィシャルパートナー、15億円のオフィシャルサポーターに名乗りを上げた。その総体が、68社3761億円だった。」

事件はいまのところ、AOKIルート、KADOKAWAルート、大広ルートが浮上しています。

「大広が代理店参入したかったのは、顧客の語学教室運営会社がオフィシャルサポーターになりたかったためで、スポンサー料は約7億円といわれている。AOKIのスポンサー料は約5億円でKADOKAWAのそれは約2億円。スポンサー料は公表していないので「約」なのだが、15億円の定価はあってないに等しい。要は電通の、あるいは高橋容疑者の“さじ加減”なのである。」

組織委の内部統制としては、この点がいちばん問題なのでしょう。1社15億円がスポンサー収入として組織委に入るべきところが、勝手に値引きされて、値引きのうちのいくらかがわいろとして誰かに流れるというのは、会計不正そのものです。もちろん、交渉ごとなので値引きすることはあるのでしょうが、「さじ加減」で決まるのでは、透明性ゼロです。

今回の事件の意義は...

「五輪のようなビッグイベントはもちろん、「丸投げ」と批判された持続化給付金事業にしても、電通の機動力、運営力、総合力がなければうまく進まなかったのは事実で、電通は五輪を含めて政府とタイアップする国策企業の側面を持つ。」

「今回の高橋元理事を巡る捜査には、招致も含めて巨大化する五輪利権にメスを入れると同時に、政府と一体化する国策企業電通へのコンプライアンス(法令遵守)の不足を警告する意味合いもあった。

事件が第3の「大広ルート」まで波及するのは確実で、高橋容疑者の再逮捕はさらに重ねられて年内いっぱいは続き、五輪利権の構造がさらに明かされ、捜査の進展によっては政界への波及も考えられよう。」

3つのルートの他、五輪スポンサーだったパーク24も家宅捜索を受けています。高橋容疑者が手をつけられないようなトップクラスのスポンサーは別として、大会スポンサーになった会社を片っ端から調べているのでしょう。大会のオフィシャルサポーターだったEY Japanは大丈夫なのでしょうか。監査やコンサルの契約をとるためには、相手企業の実力者に営業すべきという考えもあり、東京五輪の場合は、高橋容疑者が陰の実力者だったわけですから、何らかの接点があってもおかしくはないでしょう。もちろん、わいろまでは払っていないとは思いますが...。

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