会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

【毎期末のドタバタ】「会計トリックではない」と信じる力が大事だった(DOLより)

【毎期末のドタバタ】「会計トリックではない」と信じる力が大事だった

GEの凋落を描いた書籍の宣伝記事の続きです。

毎期(四半期・本決算)、決算日直前にいろいろやっていたそうです。

「マネジャーは四半期ごとに目標を達成することを求められ、その実現が危うくなると、差額を埋めるために奔走した。ウェルチ以降、GEが四半期予算を達成できなかったことはほとんどなかったが、それは偶然ではない。

GEキャピタルが保有する膨大な資産から、換金できるチップがふんだんに提供されたからだ。四半期末の雲行きが怪しくなると、何かが売却された。ビル、駐車場、飛行機など、宝箱の中の何かを売れば、簡単に数字をつくることができた

だとしても、そんなとき現場が戦場になることは避けられなかった。ある元幹部の話によると、11月末の感謝祭を過ぎると、あらゆる売上げを確定させるために、年末まで休みを取ることはほとんどできなかったという。」

いくつか例を挙げていますが、そのひとつ。

「年末は最後の追い込みの時期だ。GEヘルスケアでは、病院のCFOに土壇場の電話をかけ、大幅な値引きを行ってでも高額機器を押し込まなくてはならなかった。会計年度が終了する午前0時までに出荷するために、トラックへの積み込みは猛烈な突貫作業になった。」

投資していた映画の興行成績が予定より振るわず、評価減を避けるために、映画の拡大版DVDを発売する計画を立てて資産価値を維持したという話もおもしろいと思いました。監査人との関係についてもふれています。

「状況を打開するための会議が招集され、映画の拡大版DVDを発売するというアイデアが採用された。

熱心なファンはこれを歓迎するはずであり、興行収入の不足分を補う利益が見込める、というのがその理屈だ。拡大版DVDの販売を織り込んで予測をやり直せば、現時点で作品の資産価値を下げる必要がなく、「映画は期待したほど儲からなかった」と投資家に告げる必要もない。

GEの社員は、このようなトリックは会計規則に反するものではないと自分に言い聞かせていたし、独立監査人のKPMGも承認していた。だが、そのKPMGは、CASの協力を得て帳簿をチェックしていた。GEの経理担当者は、KPMGの監査人は彼ら自身の本社の判断より、GEの会計判断に同調する傾向があることを見抜いていた。」

大きな監査クライアントに対する日本の大手監査法人の監査チームの態度も、おそらく、こんな感じでしょう。だいぶ改善はされていると思いますが...。

↑電子書籍版です。

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