日本公認会計士協会は、会員(公認会計士2名)に対する懲戒処分を、2019年2月1日付で公表しました。
「会社(医薬品業界向けコンサルティング事業を営み、東証マザーズ市場に上場していた会社)の2014年12月期から2016年12月期第1四半期までのそれぞれの関与期間に係る財務書類の監査及び四半期レビューにおいて、相当の注意を怠り、重大な虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を重大な虚偽、錯誤又は脱漏のないものとして意見又は結論を表明した」とされています。
この会社では、「連結子会社による2014年12月期の自動培養装置開発権及び2015年12月期の培養上清液の売上に関し、会社の取締役等による契約関係書類の隠蔽及び振込名義人の偽装等の不正隠蔽行為を伴う不適切な会計処理があったことが判明し」、有価証券報告書・四半期報告書の訂正が行われました。
それら不正に関する手続不備を指摘されています。
まず、「200百万円の自動培養装置の開発権譲渡取引」に関する監査手続については、「期末日直前の多額の売上取引であること、及びA社から本契約の解除通知を受けていながら、A社・B社(連結子会社)・C社の3社が「地位譲渡契約」を締結することにより、あえて一連の取引としていること等」の状況があったのに、不正リスク要因の例示に相当するかどうかの検討が不十分であり、また、「開発権の具体的内容や売買代金の妥当性について慎重に検討した証跡は認められず、取引内容を十分に理解し当該取引の事業上の合理性を検討したと認められない」などの指摘を受けています。
「15百万円の培養上清液の販売取引」の監査手続についても、「期末日直前の多額かつ大量の販売取引であること、及び東証マザーズ市場の上場廃止基準である売上高100百万円未満に抵触するおそれがあり、15百万円の売上計上の可否は会社にとって重要な意味を有していたこと等」の状況があったのに、手続が不十分だったとされています。
その後の 2016年12月期第1四半期四半期レビューでは、「会社役員から自動培養装置開発権譲渡に関する重要な契約書類の隠蔽が行われていたことや、培養上清液の売上に対する入金は偽装であったことを聴取していた」にもかかわらず、「求められている追加手続が実施されたものと認められない」と批判されています。
懲戒処分の内容は、「会則によって会員に与えられた権利の停止7か月」です。
なお、会員専用ページでは、この処分に関連する文書が掲載されています。
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