会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「最強」と謳われた森信親・金融庁長官の「悲しき最後」(現代ビジネスより)

「最強」と謳われた森信親・金融庁長官の「悲しき最後」

7月に退任する森金融庁長官の功罪を取り上げた記事。長官の打ち出した政策を擁護しています。

任期の最後になって、スルガ銀行不正融資事件や仮想通貨巨額紛失事件などの不祥事が起きていますが、そのことよりも、むしろ、事件後の朝令暮改が問題だといっています。

「それ(スルガ銀行事件)をもって、「森の目は節穴か」と、批判するのはおかしい。誤解を恐れずにいえば、現場を知らない役人とは、所詮その程度のもので、それは評論家、アナリスト、ジャーナリストも同じ。スルガ銀行を誰がどれだけ持ち上げていたかを振り返ったほうがいい。

むしろ批判すべきは、かぼちゃの馬車事件が発覚してから、掌返しでスルガ銀行バッシングを始めたことだろう。報告徴求命令、立ち入り検査などを矢継ぎ早で行ない、役職員を退職させているのは検査忌避に相当すると経営幹部を脅し上げた。

問題にするのは、この朝令暮改のほうで、それは仮想通貨に対する“揺らぎ”にも現われている。

日本は、世界に先駆けて仮想通貨の規制に乗り出し、17年4月、改正資金決済法を施行、決済手段として仮想通貨を認めた。所管する金融庁は、仮想通貨交換業者の登録を義務付け、業界最大手のビットフライヤーなど11社の登録を認め、そこに到達していない業者に対しては「みなし登録業者」としての営業を認めた。

そこにあるのは「国民生活の利便性に役立つフィンテックの育成」(金融庁関係者)という観点である。

「制度のなかで監視する体制は必要ですが、窮屈すぎては芽を摘む。仮想通貨交換業を登録制にしたのは、免許のような厳しい縛りをかけず、参入を容易にするためです」(同)

もくろみ通り、日本は仮想通貨大国になった。登録制の導入で、本人確認や資産の分別管理、外部監査など、投資家保護が図られたことが安心感につながり、17年は仮想通貨ブームに沸いた。

しかし、バブルはいつか破裂する。コインチェックの580億円流出事件は想定外だったが、通貨といってもネットに書かれた暗号であり、セキュリティを突破されたらひとたまりもない。南京錠をひとつつけただけ、といった大甘管理だったので無理もないが、その瞬間から金融庁の対応は激変。登録業者もみなしも業者を締め上げ、登録のハードルを二段階も三段階も上げた。

「フィンテックの利便性」といった観点はひとつもない。そこにあるのが組織防衛の発想だとしたら、「金融界の変革」などいうのもおこがましい。」

銀行や業者に対して中立であるべき金融庁が、業界振興や経営に関与しようとしたのが間違いだったと思われます。スルガ銀行や仮想通貨業者への厳しい監督は当然の措置でしょう。

金融庁長官は、企業開示や監査に強い関心があるわけではないので、誰がなろうと、あまり関係はありませんが、あえて、会計士業界にとって、森長官の時期はどうだったかというと、「東芝粉飾事件と監査人バッシング」の時期ということでしょうか。その前の数年間は「オリンパス粉飾事件と監査人バッシング」でしたから、変化はないと言えますが、業界としての景気はよくなって、少しは明るくなってきたのでしょう。
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