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政治資金監査、収入は調べず領収書照合のみ

政治資金監査、収入は調べず領収書照合のみ

「政治資金監査」制度を取り上げた記事。

「監査人としての仕事は、これらの領収書と団体の会計帳簿、収支報告書の記載内容を見比べること。矛盾する事項が見つからなければ、「確認済み」を意味する監査報告書を団体あてに発行する。山下会計士は「使ったお金が報告書にきちんと記載されているかを確認する単純な作業。1日もあれば終わってしまいます」と話す。

 監査人には、支出の妥当性をチェックする責任がないためだ。「監査は外形的・定型的に確認する業務」。総務省の政治資金適正化委員会が定めた指針にはそう記されており、これが監査の裁量を狭くしているとの指摘がある。監査とは名ばかりで、おかしな支出がないかなど厳格な調査を行う企業監査とは大きく様相が異なる。」

正規の会計監査とはもちろん異なるのですが、会計監査でも、会計処理の妥当性はみても、「支出の妥当性」そのものをチェックしているわけではありません。組織の実態が報告書にきちんと表示されているかどうかを確かめるという目的の点では、正規の監査と同じといえます。

ただし、監査のための手続が限定されていること(したがって報告書の文言は通常の監査と異なり、また、監査人の責任も限られている)や、政治資金団体の会計処理や開示のルール自体が、一般企業の会計基準のようには確立していないこと(そもそも複式簿記で作成されていない計算書が監査の対象となるのか)は問題といえます。

もっとも、そうした条件が整ったとすると、今度はあまりにリスクが大きすぎて、普通の神経の会計士はたぶん監査を引き受けないと思いますが・・・。

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政治資金監査マニュアル(政治資金監査に関する具体的な指針)

このマニュアルによれば、監査報告書における監査の結果では、例えば「・・・報告書は、会計帳簿、明細書、領収書等、領収書等を徴し難かった支出の明細書等及び振込明細書に基づいて支出の状況が表示されていた」といった記述がなされ、例外事項を「別記」として具体的に挙げていくという、「合意された手続き」的な報告書となっています。
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