ＩＡＡＳＢ、時価の見積りに関するAudit Practice Alert を公表

New IAASB Audit Practice Alert Focuses on Fair Value Accounting Estimates

国際監査基準の設定主体であるＩＡＡＳＢは、時価の見積りの監査に関するAudit Practice Alert（直訳すると「監査実務警報」） 「Challenges in Auditing Fair Value Accounting Estimates in the Current Market Environment」を２００８年１０月６日に公表しました。

これも、ひとつ下の記事で取り上げたＩＡＳＢの対応策と同様に、金融安定化フォーラム（ＦＳＦ）の勧告事項に対応するためのものです。

このAlertの目的は、国際監査基準の中で、市場が不安定な時期における時価の見積りの監査に関連する領域を強調することであり、既存の基準を改定するものではありません。

The purpose of the alert is to highlight areas within the International Standards on Auditing (ISAs) that are particularly relevant in the audit of fair value accounting estimates in times of market uncertainty.

取り上げられている具体的な項目は以下のとおりです。

This alert discusses:

• Challenges faced in accounting on the basis of fair value;時価に基づく会計において直面する問題点

• Requirements and guidance in standards that are particularly relevant to fair values;　監査基準における、時価に関連する規定・指針

• Other considerations in audits of fair value　accounting estimates;　時価見積もりの監査におけるその他の検討事項

• Initiatives of the International Accounting Standards Board; and　ＩＡＡＳＢのイニシアティブ

• Recent revisions to extant standards on auditing　accounting estimates and fair value measurements and disclosures which, while not yet effective, may be helpful to auditors.　時価算定および開示に関する適用前の改正基準（ＩＳＡ５４０）が監査人にとって有用であること

ところで、日本の監査基準も、国際監査基準を取り入れたものといわれていますが、こうした緊急の指針についてはどういう扱いになるのでしょうか。欧米と比べれば金融危機の直接的影響は小さいとはいえ、日本企業（特に金融機関）の監査にも関係する事項です。（もっとも、基本的なところは既存の監査基準委員会報告書でカバーしているはずあり、また、時価の概念が海外基準と微妙に違ってそのまま適用できないので、優先度は低いのかもしれませんが・・・。）

金融安定化フォーラムの説明はこちらをどうぞ（金融庁のサイト）
http://www.fsa.go.jp/inter/fsf/20081011.html

会計士協会からは３月にこういう指針が出ています。
証券化商品の評価等に対する監査に当たって
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_970.html