顧問税理士や監査法人の公認会計士のミスで法人税を払い過ぎたとして、大阪市の不動産賃貸業者が約5900万円の損害賠償を求めた訴訟で、税理士と監査法人が計約4100万円を支払うことで和解したという記事。負担額は税理士の方が多く監査法人の負担は約1100万円です。
「1審判決によると、千島土地の役員は2003年11月、法人税が一部非課税となる特例制度が適用されるか判定するため、新日本監査法人の公認会計士に自己資本比率の計算を依頼。会計士は「利益積立金」の額を使うべき所に、誤って「利益剰余金」を当てはめ、適用基準を満たさない数値となった。
会計士のメモなどを見ながら計算した税理士もミスに気付かず、千島土地は2年間で法人税計約5200万円を余分に納付。別の監査法人の指摘で判明した。」
1審では監査法人の責任を認めず税理士だけが賠償金を負担しています。この記事のケースの詳細はわかりませんが、監査法人は税務はできないので、監査契約やアドバイザリー業務の契約で関与していたのでしょう。そうだとしたら、監査(あるいはアドバイザリー業務)が本来の役割であり、本来の役割以外である税務業務に関して責任を問われるのは理解しがたいものがあります。特にこの場合は顧問税理士もいるわけですから、税務申告のための資料は税理士に作ってもらえばいいはずです。
とはいっても、監査法人の役割についてクライアントに誤解があったのかもしれません。税理士とは違うということをクライアントがきちんと理解してくれているか、よく注意すべきという教訓かもしれません。クライアントの参考にしてもらうため、監査やアドバイザリー業務の中で気が付いた事項などをメモにして渡すということはあり得る話ですが、その趣旨が誤解されないようにする必要があります。
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