金融庁の企業会計審議会・監査部会が、11月16日に開催され、そのときの資料が金融庁のサイトに掲載されています。
この回は、不正対応監査基準そのものではなく、以下のような、それに派生する論点や、関連の薄いその他の論点が、取り上げられたようです。
○多様な監査業務に応じた審査のあり方
○監査契約書のあり方
○監査報告書の記載内容
○公認会計士と依頼者との契約に基づいて行われる非監査業務のあり方
「審査のあり方」については、日本基準ではどんな監査でも審査は必須とされているのに対し、国際的な基準(国際監査基準(ISQC1)、米国PCAOB基準)では、必須ではないということが報告されています。不正対応基準で厳しくなる分だけ、審査に関しては、メリハリをつけるということを考えているのかもしれません。
「すべての監査に審査が求められているわけではなく、審査を行う場合でも、上場企業に対する監査とそれ以外の企業に対する監査とでは、異なる取扱いがされている。」
「論点」としても、幼稚園監査などについて「上場会社に対して行っている監査と同様の審査を求めるのかどうか」という項目が挙がっています。
同じく「審査のあり方」の項目では、「特別目的の財務報告に対する監査の位置付け」という、ややマニアックな論点も挙がっています。現行監査基準では、一般に公正妥当と認められた会計基準に従って作成された財務諸表しか対象にならないので、そのあたりを改正しようということでしょうか(たとえば、別の財務報告フレームワークに基づく財務諸表も監査できるようにする)。
当サイトの関連記事(米国監査基準の改正と中小企業会計)
「監査契約書のあり方」は、不正対応監査基準関連の論点で、不正対応のために日数が増えるような場合の監査契約における報酬の扱いや、引き継ぎ業務の扱いを検討するようです。
「監査報告書」については、「強調事項及びその他事項は、記載が強制されている項目を除き、稀にしか利用されていない(2012 年6 月22 日、IAASB 公表:監査報告書の改訂に関する市中協議文書(第41 項))」という海外の現状についてふれています。しかし、国際監査保証基準審議会などで、監査報告書の内容を拡充する方向で検討がなされていることから、日本でも論点の一つとして検討するということのようです。
「非監査業務」は、オリンパス事件でも問題になった評価業務を念頭に置いた議論をしているようです。しかし、そもそも、評価業務は会計士の独占業務ではなく、法律的には誰でもできるわけですから、審議会の議論対象になるものなのでしょうか。
こちらは前回(10月)の議事録です。会計士の委員を中心に、事務局の案に対する反対意見が多かったようです。
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企業会計審議会第30回監査部会議事録
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