会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ヴェトナムの巨額銀行詐欺で死刑判決 不動産業の女性被告に(BBCより)

ヴェトナムの巨額銀行詐欺で死刑判決 不動産業の女性被告に

「サイゴン商業銀行」というベトナムの銀行の巨額不正融資事件の裁判で、銀行の実質的経営者で不動産業の女性に死刑判決が下されたという記事。

「検察によると、不動産開発業者の同被告は、ヴェトナム最大級の銀行「サイゴン商業銀行」に、11年間にわたって計440億ドル(約6兆7300億円)を自らの会社に融資させた。うち270億ドルは回収できない可能性があるという。」

「この日の判決では、被告全員が有罪とされ、チュオン・ミー・ラン被告に死刑が言い渡された。そのほか、4被告には終身刑が、残りの被告には執行猶予つき3年~20年の有期刑が告げられた。チュオン・ミー・ラン被告の夫は9年、めいは17年の刑を受けた。」

「チュオン・ミー・ラン被告は2011年にはホーチミンの有名実業家となっていた。そして、資金難に陥っていた小規模銀行3行を合併させ、「サイゴン商業銀行」を誕生させた。

ヴェトナムでは個人が銀行の株式を5%以上保有することが法律で禁じられている。しかし同被告は、数百のペーパーカンパニーや代理人を通し、同行の株式の90%以上を所有していたという。

検察は、同被告が影響力を背景に自分の子飼いを同行のマネジャー職につけ、ペーパーカンパニーのネットワークへの融資を何百件も承認させたとしている。

総額は途方もない規模になった。サイゴン商業銀行による融資の93%は同被告に対するものだった。

検察によると、同被告は2019年2月からの3年間、自らの運転手に銀行から108兆ヴェトナム・ドン(約6620億円)超を現金で引き出させ、地下室に保管させていた

同被告はまた、融資が検査されないよう、多額の賄賂を贈ったことでも起訴された。中央銀行の元主任検査官は500万ドルの賄賂を受け取った罪に問われ、終身刑が言い渡された。」

記事で引用されているコメントによると、被告は長年にわたって「ホーチミンのビジネスと政治を牛耳る有力者らに守られてきた」のだそうです。そして、ハノイの共産党政権は、南部のやりたい放題に対し権威を示すことを狙っているのだそうです。だとすれば、死刑判決は見せしめの要素があるのでしょう。

日本で似たような事件を探すと、バブル崩壊前の平和相互銀行事件でしょうか。ウェブの情報によると、6000億円ほどグループ企業に融資していたそうです。今回のベトナムの銀行の事件はその10倍の規模ということになります。

当サイトの関連記事(サイゴン商業銀行の監査人(ビッグ4事務所)がベトナムの国会でやり玉に挙がったという報道について)

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事