会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

廃炉・事故処理に向けた新組織の構築(現代ビジネスより)

廃炉・事故処理に向けた新組織の構築---「事故収束と事業継続のジレンマ」からの脱却のために

東電原発事故収拾のための体制構築を取り上げた、民主党・馬渕氏による論説記事。

その中から東電の現状に関する部分。

「現在、東電は、貸借対照表上は債務超過にはなっていない。しかし、原子力損害賠償支援機構による賠償支援を受けており、それが巨額の簿外負債となっている。その簿外負債の額は、賠償費用に充てられる交付国債枠5兆円、さらに経営安定化資金に充てられる政府保証枠4兆円の計9兆円(枠)にわたる。

加えて、東京電力は、賠償や除染費用が、上記交付国債枠5兆円では足らず、費用が10兆円規模に膨らむため、追加支援を政府に求めている。

さらに、東電の2012年度の営業損益(連結)は、2219億円の赤字である。以上の状況を踏まえれば、東電は実質的に債務超過の状態にあることは明らかだ。

このように東電のBS上はバランシングしているものの、簿外負債を債務認識すればその瞬間に債務超過となる。企業会計上は、平成11年のいわゆる金融ビックバン以降、時価会計が原則であり、簿外負債(貸借対照表上に記載されていない債務)は原則として認められていない。

東電の場合は、原賠支援機構法のスキームがあるため簿外負債が認められているが、企業会計上は異常な状態にあることは明らかだ。・・・」

原発事故そのものと比べればごく小さな問題ですが、東電の実質的粉飾スキームは、日本の企業会計の信頼性も汚染しているといえるでしょう。このままでは実質的粉飾状態はますます悪化するばかりですが、金融庁や東電の監査人も含めて、どうするつもりなのでしょうか。
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