会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

欠損金の繰越期間延長で会計実務に影響(税務研究会)

欠損金の繰越期間延長で会計実務に影響2011.01.17

週刊経営財務によると、日本公認会計士協会の「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」の廃止を求める声が上がっているそうです。

「監査指針で見積り期間が示されているため、会社の解消スケジュールとの乖離が更に大きくなり、繰延税金資産が過小評価されるケースが生じ得ること、また、IFRSの取扱いと異なるため、移行時の影響が大きい点などが指摘されている」のだそうです。

たしかに、この「取扱い」は細則主義の象徴みたいな指針ですから、IFRSとは相性が悪いのかもしれません。

当サイトの関連記事(経営財務の記事でふれている三井住友FGのIFRS決算について)

一方で今3月決算以降は税率引き下げの影響も見込まれます。「取扱い」の廃止の話は、それを相殺しようという(銀行業界や金融庁の?)動きなのでしょうか。

税制改正関連法案が年度内公布の場合には23年3月期で税効果会計への対応が必要に2011.01.17

IAS12(PDFファイル)(IASBのサイトより)(要登録)

IAS12号をみてみると、24項で以下のように規定しています。

A deferred tax asset shall be recognised for all deductible temporary differences
to the extent that it is probable that taxable profit will be available against which the deductible temporary difference can be utilised, (以下省略)

また、繰越欠損金については34項で同じような規定になっています。

A deferred tax asset shall be recognised for the carryforward of unused tax losses and unused tax credits to the extent that it is probable that future taxable profit will be available against which the unused tax losses and unused tax credits can be utilised.

このように基準自体には、会社の類型や見積り期間について、特にふれてはいません。

ただし、35項で

・・・However, the existence of unused tax losses is strong evidence that future taxable profit may not be available. ・・・

(繰越欠損金があるということは、利用できる将来の課税所得がないかもしれないという強い証拠である。)

と書いているように、けっしてあまい規定をしているわけではないと思われます。

まさに原則主義で、指針に書いてあるからということではなく、会社ごとに理屈をつけて回収可能性を見積もる必要が出てきます。
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