2022年度の日経・経済図書文化賞の受賞図書が発表されました。
会計分野の本が1冊入っています。
『日本企業の利益マネジメント』 山口朋泰 著 (中央経済社)
「受賞のことば」より。
「本書のテーマである「利益マネジメント」とは,会計基準の規定の範囲内で, 経営者が意図的に利益を調整することをいう。 その手段として, 会計方針の選択や会計上の見積もりの変更といった会計上の操作を通じて利益を調整する「会計的裁量行動」も実施できるが, 本書では値引販売を通じた販売数量の増加や研究開発費・広告宣伝費の削減といった事業活動の操作を通じて利益を調整する「実体的裁量行動」に焦点を当てている。」
「日本企業が実体的裁量行動を実施しているか,実体的裁量行動はどのような経済的帰結をもたらすのか, 実体的裁量行動はどのような要因に影響を受けるのか, といった観点から体系的に実証分析を行っている。」
「書評」より。
「日本企業のデータを用いて、実体的裁量行動を行った企業の将来の業績が悪化し、かつ資本市場の評価も低くなることを明示している。 また処理方法などの選択肢を排除して会計的裁量行動を抑える硬直的な会計基準を設定しても、必ずしも裁量行動はなくならず、むしろ外部から見てより分かりにくく規制もできない実体的裁量行動を増加させることを指摘した点は、とくに興味深い。」
アマゾンでは在庫切れのようで、定価より高くなっています。書店で購入するなどした方がよいでしょう。
その他の受賞作品は...
『発明の経済学』 長岡貞男 著(日本評論社)
『中小企業金融の経済学』 植杉威一郎 著 (日経BP 日本経済新聞出版)
『コマースの興亡史』 矢作敏行 著(日経BP 日本経済新聞出版)
『物価とは何か』 渡辺 努 著(講談社)