儲かったのはファンドと元社長だけ
ツバキ・ナカシマのMBOと再上場(昨年12月)を取り上げた記事。
MBOでは標準的なスキームなのでしょうが、旧会社は買収側と合併させられ、そののれんと借入金を背負わされています。さらに、多額の配当で内部留保も吐き出しています。そこまでして、企業体質が変わったかといえば、「再上場に至る8年間で、どれだけ成長したのかというと、その気配はない。MBOなどしないほうが良かったのではないかとすら思えてくる」のだそうです。
「以前のツバキ・ナカシマは無借金で、MBO公表直前決算期である2006年3月期の純資産比率は83.38%。164億円の現預金と簿価で230億円を超える投資有価証券を持つ、典型的なキャッシュリッチの優良企業だった。
それが、MBOで背負った借金返済のため、投資有価証券の処分と現預金の取りくずしを余儀なくされた。買収から1年後には現預金が40億円、投資有価証券が194億円減る一方で、有利子負債も457億円に減ったものの、純資産比率は36.6%に低下している。」
「さらに、TNNインベストメントには、旧ツバキ・ナカシマを買収した時点で、買収額と純資産の差額であるのれんが発生している。
そののれんを抱えたTNNインベストメントと、旧ツバキ・ナカシマが合併したために、新生ツバキ・ナカシマには310億円もの、のれんが発生してしまった。のれん償却だけで年間15億円強の営業利益の押し下げ要因となり、利益水準は大きく低下した。」
IFRS効果による利益増加もあるようです。
「ツバキ・ナカシマは2015年12月期の業績について、売上高390億円(前期比8.2%増)、営業利益70億円(同34.1%増)と予想している。一見、過去最高だった2006年3月期の売上高323億円、営業益64億円を上回っているように見える。
しかし会計基準が2006年は日本基準、2015年はIFRSだということを考えると、少し違った風景が見えてくる。ツバキ・ナカシマはIFRS移行までは、のれんを毎期約16億円程度償却していた。
その分がIFRS移行によって営業利益を底上げしていることになる。日本基準はのれんの定額償却を義務付けているのに対し、IFRSはのれんを償却する必要がないからだ。
とすれば、会社が発表している2015年12月の70億円という営業利益の見通しは、日本基準に換算すれば53億円強になる。これは2007年3月期の53億円とほぼ同水準だが、2001年3月期の57億円や、2006年3月期の64億円は下回っている。」
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