会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ストックオプション訴訟の恐怖

ストックオプション訴訟の恐怖 (BusinessWeek):NBonline(日経ビジネス オンライン)

米国のストックオプション付与日を操作する不正の裁判で、経営者に厳しい有罪判決が出され、今後同様の訴訟が次々に起こる可能性があるという記事。

「外部記憶装置大手の米ブロケード・コミュニケーションズ・システムズ(BRCD)の元CEO(最高経営責任者)グレッグ・レイズ被告が、10件の起訴事実すべてについて有罪宣告を受けたのである。レイズ氏は弁護費用に約3000万ドルを投じたにもかかわらず、結果は最大20年の禁固刑と数百万ドルの罰金という厳しいものになった。これに触発された株主が民事訴訟を次々に起こすことになるかもしれない。」

この事件では、不正の対象は一般社員向けのストックオプションであり、被告の経営者自体は不正な操作によって利益は得ておらず、また、故意に不正を犯したという具体的な証拠は提出されなかったにもかかわらず、有罪判決となったようです。

アップルでも同様の不正があり、経営者であるジョブズ氏自身にも巨額のオプションの付与がなされていますが、記事によれば、「会計上の影響を正しく理解していなかった」ということで、会社の報告書ではジョブス氏には不正はなかったとされています。

アップルの場合も、刑事訴追されておかしくないのですが、記事によれば、その可能性は低いとのことです。訴追するかどうかは、日本以上に、検察側のいろいろな思惑に左右されるようです。

最後に「この手の犯罪は本来、SECによる制裁や和解に基づく罰金によって処理すべき」という学者のコメントが出ています。ライブドア事件(会計士までも実刑)や日興コーディアル事件(刑事訴追なし)をみてもわかるように、行政上の処分で済ませるか刑事罰まで課すかの区分について相場が確立していないのは、日本も同じでしょう。
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