東京証券取引所の自主規制法人が近く理事会を開き、オリンパスの上場維持を正式に決定するという記事。
「東証は「虚偽記載の悪質性の度合いを重視する」(幹部)方針のもと、株主への影響を調べた。同月14日にオリンパスが発表した過去の決算訂正では、隠蔽していた損失を反映させても債務超過に陥っていなかったため、上場維持方針を固めた。」
「東証は、悪質な組織的関与が疑われる事実が見つからなかった状況を踏まえ、金融庁の処分や捜査の決着にこだわらず、上場維持を最終判断し、公表する。」
上場維持自体は妥当な結論だとは思いますが、これが悪質な虚偽記載でないという判断は信じられません。
修正後も債務超過にならなかったというだけで「悪質性の度合い」が低いのであれば、財務基盤が弱い新興企業には厳しく、過去からの蓄積がある古くからの企業には甘い基準となってしまいます。また、西武鉄道やライブドアのように債務超過ではないのに上場廃止になった例もあります。
また、オリンパスは、歴代の社長が粉飾を容認し、さらには粉飾の首謀者を監査役会に送り込み、会社のガバナンスをマヒさせたわけですから、まさに悪質な組織的犯罪です。
オリンパスの粉飾は組織的で非常に悪質だが、株主の権利を損なわないように、経営陣の刷新を条件に、上場維持を認めるというのならわかりますが・・・。
オリンパス報告書公表 「監査法人は軽率」指摘 「首謀者が隠蔽」で不問(毎日)
「第三者委の報告書によると、あずさは問題発覚前、企業買収資金が高すぎる点などを指摘したが、菊川剛前会長ら経営陣は受け入れず、監査役会も「問題ない」と結論づけたため、最終的には決算を適正と判断した。第三者委は、あずさが適正意見を出した経緯について「問題なしとはしない」と指摘。新日本監査法人についても、あずさからの引き継ぎが不十分だったと問題視した。
一方、今回の報告書は監査法人について「関係者に不注意や軽率な点は見受けられる」と指摘したものの、「(不正の)首謀者が巧妙に違法行為を隠蔽(いんぺい)していた」ことなどを理由に「直ちに注意義務に違反したとは言えない」と認定した。結果的に監査役と監査法人で責任についての判断が分かれた点について、「監査法人の責任を問えば大詰めを迎える12年3月期の決算の策定作業に影響が出かねないことを考慮したためではないか」(公認会計士)との見方もある。」
どんな会社が上場廃止になるのか(日経)
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