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損害:M&A算定で神戸の元会社社長ら 三井住友銀提訴へ

損害:M&A算定で神戸の元会社社長ら 三井住友銀提訴へ - 毎日jp(毎日新聞)

会社を売却する際、価格算定が不適当だったため不当に低い価格で売るはめになったとして、売却を仲介した三井住友銀行が、売り手側から約1億4700万円の損害賠償を求める訴訟を起こされるという記事。

「訴状などによると、元社長は、筆頭株主で社長を務める精密部品製造会社(神戸市)を売却しようと07年6月、売却額算定や売却先のあっせんなどを依頼する「アドバイザリー業務契約」を同銀行と締結した。銀行は土地・工場の簿価などを基に売却額を4億円と算定。元社長らは今年4月、大阪府内の製造会社に全株式を同額で売却し、子会社になり、銀行側には2650万円の報酬を支払った。

 しかし、直後に監査法人が「時価とかなりの差がある」と指摘。元社長らが調べたところ、工場が時価より約9300万円低く見積もられるなど、付属設備や機械などを合わせて計約1億2000万円低く算定されていた。

 簿価が時価より低いのは、1988年に工場を移転した際、節税のため新工場の帳簿上の価値を下げる「圧縮記帳」という税法上の特例措置を適用したためで、転売時には時価取引が通常だという。」

1988年取得ということで、それ以降不動産価格が下がっているはずだから、「簿価>時価」と思いこんでしまったのでしょうか。圧縮記帳されていたとすると、88年に譲渡した資産の取得原価を引き継いでいるわけですから、相当低い簿価が付いていた可能性はあります。

株価算定に絶対的な正解はないのだとは思いますが、報酬をもらってアドバイザリー業務を提供している以上、最低限の注意義務は払うべきでしょう。

本筋とは関係ありませんが、ここで登場する監査法人の役割も気になります。買い手側(親会社)の監査人なのでしょうか。それとも、まったく別の監査法人に売り手側が評価のやり直しを依頼したのでしょうか。
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