国際会計士倫理基準審議会(IESBA)が、監査人独立性に関する2本の基準改訂案を公表したが、その中の報酬依存度に関する改訂は、(日本の会計士協会のルールに取り入れられれば)中小監査事務所に影響が大きいという記事。
「報酬については、特定顧客からの報酬への依存度により、「必要なセーフガード措置の適用」や「情報公開」、「監査人の辞任」といった提案がある。これらは上場企業監査を手掛ける中小法人が多い我が国への影響が大きいとも言われている。」
日本の現行ルールだと、ある1社(グループを含む)への報酬依存度が15%を超えると、リスク軽減策をとることになっています。つまり、もし年間3千万円の監査報酬の会社と契約しようとすれば、事務所(監査法人)全体で2億円の年間売上がないと、独立性が損なわれるリスクありということになって、軽減措置(外部レビューなど)を講じなければなりません。軽減措置の最終的なものは、契約打ち切りですから、現行ルールも、厳格に運用すると、中小監査事務所にとってはかなり厳しいものです。
もちろん、報酬依存度が高い状態が長期に継続することが問題なのであって、短期間だけならペナルティを課せられることはないのでしょう。将来、クライアントが増えて、依存度が下がる見込みがあれば、さしあたり軽減措置を講じることによって、なんとか乗り切ることはできますが、だからといって、契約審査を甘くして、クライアントを急に増やそうとすれば、別のリスクが生じて、本末転倒です。
国際会計士倫理基準審議会の新基準がどのくらい厳しいものなのかわかりませんが、中小監査事務所や、これから監査法人を設立して新規参入しようとする会計士にとっては、やりにくくなるのでしょう。
詳しくは、週刊経営財務1月27日号(先週号です)をご覧ください。
国際会計士倫理基準審議会(IESBA)のプレスリリース。
↓
GLOBAL ETHICS BOARD PROPOSES SIGNIFICANT REVISIONS TO INTERNATIONAL INDEPENDENCE STANDARDS
Among the key proposed changes to the fee-related provisions are:
A prohibition on firms allowing the audit fee to be influenced by the provision of services other than audit to the audit client;
In the case of PIEs, a requirement to cease to act as auditor if fee dependency on the audit client continues beyond a specified period; and
Communication of fee-related information to TCWG and to the public to assist their judgments about auditor independence.
The Fees ED also includes enhanced guidance on identifying, evaluating and addressing threats to independence in relation to other fee-related matters, including the proportion of fees for services other than audit to the audit fee.
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