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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

[社説]「総会前の有報」柔軟な議論を(日経より)

[社説]「総会前の有報」柔軟な議論を

昨年12月に設置された金融庁の「有価証券報告書の定時株主総会前の開示に向けた環境整備に関する連絡協議会」(→当サイトの関連記事その2)のことを取り上げた日経社説。

「「有報の総会前開示」は英文開示と並び米欧の投資家が長らく要望してきた。日本市場の国際化の観点から柔軟な議論を期待する。

日本企業は通常、総会後に有報を開示する。米欧では有報にあたる年次報告書を提出し、その情報をもとに株主が総会に臨む。有報や年次報告書は質量ともに最も優れた開示書類だ。海外勢が「総会前に有報を読みたい」と要望するのは自然なことだ。」

現状は...

「日本企業は決算期末を議決権行使の基準日とし、そこから3カ月以内に総会を開く。年次報告書の開示を優先する米欧は決算から総会までの期間は4〜5カ月と、日本よりむしろ長い。...

基準日を後ろにずらすのは「現行法制上の制約はない」(金融庁)。企業が決算後3カ月以内に総会、その後に有報提出という手順を続けるのは、長年の慣習という側面もあると考えられる。」

金融庁や法務省は、法律上は何の制約もない、総会後有報開示は慣習の問題に過ぎないというスタンスのようです。たしかにそうなのでしょう。しかし、例えば、会社法では、計算書類は、原則として株主総会の承認事項となっている(一定の要件を満たした場合のみ取締役会で確定できる)など、慣習の裏付けとなっている法律の規定があるわけで、そこから見直してほしいものです。計算書類は、会計処理や開示に判断の要素はあるものの、基本的には会社の財務に関する過去の事実を記載した報告書であり、総会で承認したからといって、粉飾決算の計算書類が、正しいものになるわけではないでしょう。

また、せっかく、総会を有報開示の後にするのであれば、会社法上の開示書類と金商法による有報の一本化(会計監査も一本化)も検討してほしいものです。欧米の年次報告書が有報と同じなのかどうかはよく知りませんが、株式会社として、きちんとした詳細な株主向け年次報告書を一つだけ作成し、それを、金商法の開示において、有価証券報告書として参照する形にすれば、会社の事務や会計監査の合理化も図れるでしょう。似たような内容だが微妙に異なるという資料が複数あるというのは、いらいらの原因となります(速報版や簡易版はあってもよい)。

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