会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

米、AIG救済額15兆円超に拡大

米、AIG救済額15兆円超に拡大

米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)への当局の支援総額が従来の1228億ドル(約12兆2800億円)から最大1525億ドル(約15兆2500億円)に拡大したという記事。

「AIGが米財務省や米連邦準備制度理事会(FRB)と新たに合意したのは、AIGが持つ住宅ローンを担保にした証券化商品などを買い取る2機関の設立。ニューヨーク連銀が計525億ドル(5兆2500億円)、AIGが計60億ドル(約6千億円)を最大で出資。損失がAIGの出資額を超えたら、ニューヨーク連銀の負担になる。

 財務省はAIGの優先株400億ドル(約4兆円)を取得して資本注入する。一方で、緊急融資枠は600億ドル(約6兆円)に減らし、融資期間を従来の2年から5年に延長。貸出金利は引き下げる。」

U.S. Provides More Aid to Big Insurer

朝日の記事ではもともとAIGが保有していた証券化商品を新たな機関が買い取るように読めますが、それだけではなく、AIGが保証していた債券(CDO)をAIGが買い取ることによって、いったん保証をチャラにすることが目的のようです。買い取りのためには資金が必要ですが、買い取らなくても、債券の保有者から担保の提供を要求され、資金の流出が生じていたため、同じことなのでしょう。AIGに、買い取った債券を保有し続ける能力はなく、評価損のリスクもあるので、買い取り機関に転売して負担を軽くします。

AIGは買い取り機関に50億ドルを拠出し、買い取り機関は700億ドルの有価証券を1ドル当たり50セントで取得します(総額350億ドル)。足りない300億ドルは政府が拠出することになります。

The government will also spend $30 billion to help A.I.G. buy up a type of security called collateralized debt obligations that the company had agreed to insure against default. The securities are now held by institutional investors.

As their insurer, A.I.G has been forced to put up large amounts of cash as collateral as the global economy has soured and the securities seemed increasingly likely to default.

The new arrangement calls for A.I.G. to put the securities into a new entity, effectively removing them from the company’s balance sheet.

A.I.G. would contribute $5 billion to the entity, which would buy $70 billion of the securities at 50 cents on the dollar, or $35 billion. The remaining $30 billion of the purchase price would come from the government.

もう一つの買い取り機関は住宅モーゲージ債券を同様の仕組みで買い取るものです。こちらはAIGが10億ドル、政府が225億ドル拠出します。

ファニーメイが289億ドルの赤字、米住宅市場低迷で

AIGは7-9月の四半期で大きな赤字を出していますが、米連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)でも約290億ドルの巨額赤字が発生しています。

「7~9月期決算が悪化したのは、住宅価格の下落に歯止めがかからず、将来の業績改善を見込んで計上していた繰り延べ税金資産を214億ドル取り崩したことが要因だ。住宅ローンの焦げ付きに備えて計上した貸し倒れ引当金が92億ドルと前年同期(12億ドル)から8倍近く増えたことも財務を圧迫した。」

米AIGの第3四半期は予想以上の損失、評価損を追加計上
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