地銀に広がる仕組み融資、実態は国債保有 金融庁警戒(記事冒頭のみ)
実態は債券などへの有価証券投資(+デリバティブ)なのに、会計処理上は、融資として扱われる「仕組み融資」が地銀で増えているという記事。
「融資することで日本国債を保有できる「仕組み融資」が地銀で急増している。中小企業や住宅ローンに混ざって、貸出金全体をかさ上げする。金利上昇局面に入り含み損が生じているにもかかわらず、情報開示を義務付けられていない。地銀の含み損拡大といった財務リスクが見えづらくなり、金融庁が警戒を強めている。」
国債リパッケージローンと呼ばれる仕組みで、信託勘定やSPCに融資する形になっているそうです。(銀行ではなく)融資先がデリバティブを駆使して、儲かっているように見せることも可能になっています。
この仕組みを取ることにより、時価評価の対象外となるとともに、金融商品の時価開示からも逃れることができます。
3つの大手証券会社が主に取り扱っており、残高は2兆円もあります(昨年12月末)。
記事で名前が挙がっているのは、フィデアホールディングス(北都銀行、荘内銀行)、愛知銀行、阿波銀行、百十四銀行などです。
20年国債など(に投資する相手への)超長期の融資が多いそうです。22~23年の金利は1%ほどでしたが、いまは2%にもなっており、長期になるほど金利変動の影響は大きいので、2割以上含み損が発生する計算だそうです。(トランプ関税で金融市場がどうなるのかわからない状況なのに大丈夫なのか)
金融庁も監視していて、金融庁幹部は、地銀は決算を作っているとコメントしています。
記事では、関係者の不作為を批判しており、監査法人も「ルールに基づいて監査している」といっているだけでよいのかというニュアンスで書いています。
金融庁が国債仕組み貸し出し実態検証、地銀立ち入り検査も-屋敷局長(2025年2月)(ブルームバーグ)
「金融庁は国債を裏付けとする仕組み貸し出しをめぐり、地方銀行や証券会社の実態検証に乗り出す。地銀については必要に応じて立ち入り検査も活用する方針だ。屋敷利紀総合政策局長がブルームバーグの取材で明らかにした。
金融庁は、国債仕組み貸し出しについて金利動向によっては逆ざやになりかねないとしてリスク管理強化を促してきた。ただ、これまでの注意喚起にもかかわらず一部の地銀で同残高が増加していることに対する懸念から、今回より踏み込んだ対応を取る。販売側の証券会社や受託者の信託銀行も実態検証の対象とし、より厳しい姿勢を示した格好だ。
金融庁では、国債仕組み貸し出しを含めた仕組み貸し出しの残高は地銀全体で2024年9月末時点で10兆円近くに上ると推計。23年9月末時点から2-3割増加したという。」