会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

キリンHD、560億円の赤字見通し 海外での損失処理(朝日より)

キリンHD、560億円の赤字見通し 海外での損失処理

キリンホールディングスの2015年12月期の純損益が、560億円の赤字の見通しだという記事。

「キリンは11年にブラジルのビール業界で当時2位の「スキンカリオール(現・ブラジルキリン)」を3千億円で買収したが、景気後退で、13年ごろからビールと清涼飲料の販売が苦戦。売上数量はピークの12年の320万キロリットルから、今年は250万キロリットルに落ち込む見通しで、シェアも現在は3位に落ちた。

通貨レアルが大きく値下がりしたこともあって、アルミ缶や麦芽などの原料費が上がり、収益を圧迫した。資産の価値が下がっているとの判断から、15年12月期に1140億円の特別損失を計上する。」

海外M&Aは、手っ取り早く規模を拡大するのにはよいのでしょうが、なかなかうまくいかないようです。

ブラジル子会社減損損失の発生、通期連結業績予想の修正、及び単体業績に係る関係会社株式評価損の発生に関するお知らせ(キリンホールディングス)

ブラジル子会社でIFRSに基づきのれん等の減損損失を計上、それを受けて、本体(日本基準)でも損失計上ということのようです(のれん償却済み分だけ損失は小さくなる)。

「ブラジル経済の悪化を背景とした消費の停滞及び競争の激化、現地通貨安の更なる進行、当年度の大幅な販売数量減少、及び足元の利益水準の低下を反映し、ブラジルにおけるIFRS(国際会計基準)に基づき資産価値の再評価を行いました。現在、監査手続き中ですが、ブラジルキリン社取得に伴い生じたのれん等につきまして、減損損失の発生が見込まれます。減損損失見込み額は、3,881百万レアル(約1,412億円、為替レート:36.38円)です。

当社連結業績への影響は、日本会計基準に基づき平成27年12月期までの予定のれん等償却累計額272億円を差し引いた約1,140億円が特別損失として計上される見込みです。」

単体では、関係会社株式評価損約2,763億円が特別損失として計上され、単体が最も影響を受ける結果となります。連結と違って、のれん相当分の償却がなされない、買収後の(のれん償却以外の)損益が今まで反映されていなかったといった事情によるのでしょう。
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