三井物産において、東南アジア向けの化学品の貿易取引で5年間にわたり架空の売上高約518億円(累計)が計上されていたという記事。決算修正は行わないそうです。
「機能化学品本部の50代の男性室長や中堅の男女社員の計3人が16年4月から、日本メーカーと化学品を売買するインドネシアの企業グループに対し、金融・物流機能を提供する取引を開始。17年3月期から21年3月期までの5年間、この取引の売り上げとして約518億円分を決算に計上してきた。
しかし、今年1月以降の社内調査でインドネシアの企業グループから回ってきた取引に関連する船積み書類の大半が数字面などの記述で偽造・改竄(かいざん)のある可能性が強いことが判明。同社ではこの取引は実体がない架空であると判断した。」
機能化学品本部における不適切な取引の判明、及びそれに係る債権の回収遅延について(PDFファイル)
問題の取引は、インドネシアの企業グループ内の取引に三井物産が介在するというものでした。
「本貿易取引の契約上、当社から仕入先A への支払い条件はBL(Bill of Lading、船荷証券)記載の船積日から15 日後、販売先A から当社への支払い条件はBL 記載の船積日から180 日後とされており、当社介在によりA グループとして商品代金の165 日分に相当する金融を受ける仕組みでした。」
仕入先Aと販売先Aは同じ企業グループ内の会社です。会社が取引を縮小しようとして調査している中で、売買の実体のない取引であることが判明したそうです。
しかし、仮に商品の動きがあったとしても、推測すると、単に資金を提供しているだけで、在庫リスクなどは負わない取引のようですから、そもそも手数料だけを計上すべき取引のようにも思えます。
ただし、そういう会計処理上の論点と(ここではふれませんでしたが)与信枠を超えた取り引きを許していたという内部統制上の不備は別として、プレスリリースを読む限りでは、三井物産は相手の会社にだまされて資金提供させられたという被害者の立場ですから、悪質な虚偽記載とはいえないでしょう。
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