日本公認会計士協会が、上場企業を会計監査する監査法人・事務所を同協会に登録する制度を設けるという記事。
米国で行われているPCAOBへの登録制度は公的な機関への登録ですが、今回の提案は官による直接規制ではなく、あくまで協会の自主規制の制度として導入するようです。
この制度ができると、監査法人や会計士事務所は、結果として上場会社の監査ができる法人・事務所とそれ以外に序列化されることになりそうです。
ところで、この記事は、4月6日に公表された日本公認会計士協会の会長声明の内容を紹介したものです。
会長声明「公認会計士監査の信頼性の回復に向けて―協会の自主規制機能の一層の強化―」
これによると、登録した事務所は、一定水準の監査の品質を確保するために監査事務所が設定した品質管理のシステムに関する方針や手続等を文書化しそれを提出しなければならず、また、規律違反があった場合には登録名簿からの除名を含む処分を受け入れる義務が課されます。また、この登録制度の運営全般について、公認会計士・監査審査会のモニタリングを受けるという間接的な官の監督を受ける仕組みのようです。
会計士協会の指導に従わない会計士は、上場会社の監査からはずされるという制度ですので、会社のいうことを聞いてくれるからといってそういった会計士に監査を依頼している上場会社は、たいへんな影響を受けることになります(大部分の監査法人・会計事務所は大丈夫だと思いますが・・・)。
今回の会長声明では、登録制度のほかに、包括的な倫理規則の整備(今年の秋の協会臨時総会で制定予定)と、投資事業組合等に対する深度ある監査の実施についてもふれています。
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