金融庁のIFRS対応の問題点を取り上げた記事。
まず、自見大臣による「政治主導」について
「自見大臣は企業会計や金融の専門家ではない。もともとは医師で、自民党時代は郵政族として政治活動を行なってきた。2005年の小泉郵政選挙で落選。2007年に国民新党の比例代表で参院議員として復活した。」
「そんな自見大臣がなぜIFRSに目覚めたか。
「東日本大震災以降、大臣としての手柄を探していたんです」と金融庁の幹部は言う。
まず、震災発生からしばらくたって、大臣から突然、節電対策ですべての銀行の照明をLEDに替えろという指示が来たのだという。担当課に指示したところ、銀行の本支店の照明は電力消費が少ない蛍光灯がほとんどで、LEDに替えても大きな節電効果がない、という報告が上がってきた。次に大臣が飛びついたのがIFRSだった、というのだ。IFRSの適用先送りは表面上、東日本大震災による企業の負担増に配慮して、という理由になっている。」
「金融庁の現場が唯々諾々と大臣の独走を見ていたわけではない。「まったく現場の言うことを聞いてくれない」と従来からの審議会の委員にぼやく役人の姿があった。それでも反論を試みていると、1つの噂が庁内を流れた。
「担当の審議官と課長が左遷されるらしい」
どんな骨のある役人でも、人事で恫喝されれば大抵は黙るものだ。・・・」
少し誇張されているのだとは思いますが、LEDの代わりにIFRSがターゲットになったとは知りませんでした。
次に金融庁側の問題点について
「金融庁の現場が素人大臣に翻弄され続けたもう1つの要因が官僚トップである金融庁長官の指導力欠如だ。三国谷勝範長官は企業会計にも詳しく、国際的な交渉の難しさも知っている。しかし、今回の件では「何もしなかった」という不満が現場に満ちている。」
「金融庁には構造的な問題がある。金融検査や銀行監督など「事後チェック」の行政を担う組織としてスタートした手前、「企画立案」機能が極端に弱いのだ。」
「組織的には、企画立案を担当するいわゆる「官房機能」が弱い。総務課長と政策課長というポストはあるが、日本の金融資本市場全体を考えるには非力でスタッフも足りないという。また、監督局、検査局と並んで総務企画局があるが、名前に反して直接市場を統括する局になっており、銀行・ノンバンクなど間接金融を含めた金融全体の枠組みを企画立案する局になっていない。」
たしかに、IFRS対応でも、2年前の中間報告以降、ほとんど議論が進展していなかったような気がします。大臣だけでなく、金融庁自体にも、企業会計の専門家が大勢いるわけでもなく、しかも、2、3年で担当者が代わるようですから、海外の監督当局と比べれば、相当非力なのでしょう(たぶんひとりひとりは優秀な方たちだとは思いますが)。
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