金融庁の公認会計士・監査審査会は、UHY 東京監査法人を検査した結果、同監査法人の運営が著しく不当なものと認められたとして、同監査法人に対する行政処分その他の措置を講ずるよう勧告しました(2022年4月1日付)。
以下、指摘事項から引用。
「法人代表者は、業容が急速に拡大する中、業務執行社員における十分な監査業務時間の確保が困難になっている状況や、監査補助者全体のスキルの底上げが必要となっている状況において、監査事務所に求められる品質管理の水準を十分に理解していないほか、品質管理態勢を迅速に改善する必要性を認識していない。」
「個別監査業務において、当該品質管理レビュー等で指摘された企業及び企業環境の理解、会計上の見積りの監査等に係る事項と同種の不備が複数検出されるなど、当監査法人における当該品質管理レビュー等での指摘事項に対する改善は、不十分なものとなっている。」
「審査の担当者は、監査チームが実施した、企業及び企業環境の理解、会計上の見積りに係る監査、継続企業の前提の検討に係る監査手続に関し、監査チームとの討議や関連する監査調書の査閲を十分に実施することなく、監査チームによる重要な判断及びその結論に問題がないものとして審査を完了させている。」
「業務執行社員及び監査補助者は、被監査会社及び被監査会社を取り巻く環境に関する変化が生じているにもかかわらず、リスク評価やリスク対応手続を毎期見直すという意識が不足している。」
「業務執行社員及び監査補助者は、不正リスクの評価・対応、会計上の見積りの監査、継続企業の前提の検討等について、現行の監査の基準が求める手続の水準を理解していないほか、職業的懐疑心が不足している。」
「業務執行社員は、法人全体の監査業務を少人数で分担しており、各々が担当する個別監査業務に割ける時間が限定的であることから、監査補助者が実施した監査手続が適切かどうかを十分に検討できていないなど、監査補助者の実施する監査手続に対する十分かつ適切な指示・監督及び監査調書の深度ある査閲を行う意識が不足している。」
「これらのことから、重要な構成単位の企業環境の理解が不十分、固定資産の減損、関係会社株式の評価及び関係会社貸付金の評価に係る会計上の見積りに関する監査手続が不適切かつ不十分、継続企業の前提の検討が不十分といった重要な不備が認められる。」
「重要性の基準値の検討、収益認識における不正リスクへの対応の検討、仕訳テストの検討、債権の評価に係る会計上の見積りに関する検討、企業作成情報の信頼性の検討、注記の検討、内部統制の評価範囲の検討、グループ監査における監査証拠の十分性及び適切性の検討、関連当事者取引の検討、初年度監査における期首残高の検討及び監査上の主要な検討事項の監査報告書への記載の検討が不十分、さらに、売上高等に係る実証手続、内部統制の運用評価手続、内部統制の不備の評価、情報システムに係る全般統制の評価及び未修正の虚偽表示の評価が不十分など、広範かつ多数の不備が認められる。」
公認会計士・監査審査会による処分勧告について(UHY 東京監査法人)
「今後は、人員の補強を含め法人の品質管理体制を抜本的に見直し、改善計画の履行を確実に進めるとともに、監督官庁である金融庁に対しても、改善状況の説明を適切に行ってまいります。」
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