岸田首相が見直すといっている四半期開示の制度は堅持せよという日経社説。
「四半期開示の見直しによって企業の分配機能が高まるかどうかは、おおいに疑問である。資本市場を通じた成長資金の流れが損なわれることがあってはならない。四半期開示制度の見直しには慎重であるべきだ。」
「日本は2015年から企業統治改革を進め、市場による経営監視機能を強めようとしてきた。投資家が企業価値を正当に評価するために必要な四半期開示は、その前提でもあった。万が一にも四半期の開示義務を撤廃ということになれば、市場規律が働きにくい改革前の日本市場に逆戻りしかねず、賛同できない。
四半期開示の義務をなくせば、投資判断に必要な情報量が減り、思惑に基づく投機的な売買が増える可能性もある。経営者は長期の経営判断を下しにくくもなる。
海外でも四半期開示が企業の短期志向を強め、従業員などへの分配機能を弱める一因と指摘されてきた。だが、法定の開示義務が撤廃された欧州では大半の企業が自主的に開示を継続している。」
米国でも四半期見直し論が出たが、今なお撤廃に至っていないとのことです。
日経にとっては、(正式発表前の「スクープ」も含めて)決算に関するニュースが半分に減るわけですから、反対したくもなるでしょう。
政策の目玉であった金融所得課税強化は1週間で引っ込めてしまいました。
首相、金融所得課税「当面触らず」 賃上げ税制など優先(日経)
「岸田文雄首相は10日のフジテレビ番組で株式の配当や売買にかかる金融所得課税を当面は強化しない考えを明らかにした。「当面は触るということは考えていない。そこばかり注目されてすぐやるんじゃないかという誤解が広がっている」と説明した。
首相は4日の就任時の記者会見で見直しを「選択肢の一つ」として検討する意向を示していた。「貯蓄から投資」に逆行する政策として株価下落の原因だと懸念する声があり市場の反応に配慮したとみられる。」
所信表明演説では、ふれていなかったそうです。四半期見直しは所信表明演説に含まれているので、簡単には引っ込められないでしょう。しかし、株価に悪影響があるといわれれば、撤回するかもしれません。また、四半期開示の廃止とはいっていないので、少し簡素化するぐらいでお茶を濁すという可能性もありそうです。
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