会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「中間的論点整理を順番に検討」、金融庁審議会がIFRS適用方針を議論(ITproより)

「中間的論点整理を順番に検討」、金融庁審議会がIFRS適用方針を議論

3月26日に開催された企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議の模様を伝える記事。

IFRS適用の検討を行ったそうですが、記事を読む限りでは、金融庁からは何の方針も示されず、ほとんど進展がなかったようです。

「委員からは「金融庁として議論のロードマップや時間軸を示してほしい」との意見が出た。しかし、金融庁側は「そのような意見が多々あることは承知している」としながら、「国際情勢が大きく変化しているなか、(ロードマップや時間軸を)示すのは容易でない」との見方を示し、中間的論点整理に沿った議論を続けるとしている。」

それなら、(わずかとはいえ)税金を使ってわざわざ会議を開催する必要はないでしょう。

あるいは、この日は、不正対応監査基準の承認が行われており、それだけでは、ほとんど監査に興味がないと思われる企業会計審議会委員が退屈すると考えて、IFRSもやってみたということでしょうか。

そういう中で、唯一、経団連から具体的な提案があったようです。

「その中で、今後の主要な議題の一つとなりそうなのがIFRS任意適用の在り方だ。今回の合同会議では、審議会企画調整部会臨時委員を務める谷口進一新日鉄住金常任顧問が、日本経済団体連合会(経団連)企業会計委員会での議論をまとめた「国際会計基準(IFRS)への当面の対応について」に関して説明。IFRS任意適用の円滑化を提言した。

 経団連によれば、IFRS任意適用を公表しているのは16社だが、報道などで検討中とされた企業を含めると現時点で約60社。その時価総額は約75兆円で、谷口氏は「一つの推定ではあるが」と前置きしながら、時価総額上位50社のうち約4割の企業が、IFRS任意適用を公表または検討していると考えられるとする。

 提言では、このIFRS任意適用をより円滑に進めていくための対応策として、ガイダンスの作成、実務データベースによる情報共有の仕組みの実現、IFRS策定元であるIASB(国際会計基準審議会)への意見の継続、開示の簡素化(単体開示の廃止・簡素化)、任意適用の要件緩和、などを挙げている。」

強制適用しなくても、時価総額ベースで、IFRS適用会社の割合・規模を示せば、日本もIFRS適用国であるという主張ができるということでしょうか。

また、「任意適用の要件緩和」については賛成です。米国の動向をみる必要もないことなので、すぐやればよいと思います。

この日の資料が、金融庁のサイトに掲載されています。

企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議 議事次第(金融庁)

企業会計審議会や企画調整部会の委員の名簿も掲載されていますが、東京電力の副社長や、週刊誌で脱税・重婚疑惑が報じられた元国税庁長官は、消えているようです。また、以前の名簿と突き合わせたわけではありませんが、反IFRS軍団はまだ残っているようです。

IFRS適用のロードマップが示される可能性は? 経団連が求める(@IT)

「経団連によるとIFRSを任意適用し、財務諸表を開示している企業は8社。経団連の「IFRS実務対応検討会」への参加企業や、IFRS任意適用が報道などで伝えられている企業を合わせると合計で60社程度がIFRSの任意適用を検討しているとみられる。この60社の株式時価総額は約75兆円で、谷口氏によるとシンガポールの証券取引市場(時価総額65兆円)、ロシアの証券取引市場(同70兆円)を上回るという。谷口氏は日本の証券取引市場の時価総額上位50社のうち、約4割の企業がIFRS任意適用を既に行っている、または検討しているとも述べた。」
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