IMFが、先進国は富裕層の税負担を増やすべきといっているという記事。
「国際通貨基金(IMF)は数十年にわたり、「ワシントン・コンセンサス」と呼ばれる米国製の経済処方箋を各国政府に薦めてきた。
だがIMFが最近公表した新たな報告書には、米政府との見解の一致はほとんど見られない。この報告書でIMFは、先進国は富裕層の税負担を増やすことにより、成長を犠牲にせずにより公平な富の再分配が可能になると主張。「不公平が行き過ぎると社会の団結が揺らぎ、政治の二極化を生む。最終的には経済成長の低下をもたらす」と論じた。」
「IMFは昨年の報告書で「新自由主義」と呼ばれる政策パッケージが「過大評価」された可能性があると論じて注目を浴びたが、今回は教育や医療のリソースを富裕層から貧困層へと振り向けることで、社会的な格差問題に対処できると唱えた。ラガルド専務理事は12日、不平等の拡大は過去10年で最も裾野が広がっている景気回復に対する最大の脅威だと指摘した。」
世界各国は財政政策で富の再配分を、国内の所得格差縮小へ=IMF(ロイター)
「国際通貨基金(IMF)は11日に公表した報告書「財政モニター」で、世界各国で国内の所得格差が問題となる中、政府は税制や所得移転を通じた富の再配分を真剣に検討すべきだとの見解を示した。」
報告書の要旨が日本語で読めます。
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財政モニター 2017年10月(国際通貨基金)
「限界税率や平均税率は、所得額に応じて税率にどのくらいの差をつけるべきか。最適課税理論は、所得の最上位層に課す限界税率を現行よりも相当高めるよう示唆している。これまで、所得最上位層の限界税率は減少傾向にあった。累進性の低下は、累進性が経済成長にマイナスの影響を与える可能性があるという懸念に伴う反応であったのだろうか。実証分析による結果は、少なくとも累進性が過度でない水準にある限りは、こうした主張を支持していない。したがって、個人所得税の累進性が比較的低い先進国では、経済成長を妨げずに所得最上位層の限界税率を高められる余地があるかもしれない。また、様々な種類の富裕税も考慮可能である。新興市場国や低所得途上国は、累進的な支出を行うための財源を生み出せるよう、個人所得税の対象範囲を徐々に拡大し、そして、間接税を引き上げることに注力すべきである。間接税の例としては、物品税を贅沢品や負の外部性を発生させる消費財 (化石燃料エネルギーやアルコール、タバコ) に課したりすることが挙げられる。
利潤や利子、キャピタルゲインなど資本所得はどのように課税すべきか。労働所得と比較して、資本所得の分配はより不平等であり、ここ数十年で所得全体に占める割合が高まってきている。そして、労働所得よりも税率が低いことが多く、その税率が下がってきている。所得税制全体の累進性を保つためには、資本所得に十分な税を課さなければならない。その手段としては、人々が労働所得を資本所得として分類し直す動機がなくなるように手を打つことや、様々な種類の資本所得の取り扱いを統一していくことがあるだろう。多くの国々が脱税や租税回避の機会を抑制できるよう力をいれなければならない。不動産や土地に対する課税は、公正かつ効率性も高いが、十分に活用されていない。しかし、その実施には、とりわけ低所得途上国にあてはまるのだが、行政インフラに大きな投資が必要になってしまう可能性がある。」
Higher taxes would not hurt growth, IMF says(economia)
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