会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

藤田学園、デリバティブ取引で損失 証券会社提訴(朝日より)

藤田学園、デリバティブ取引で損失 証券会社提訴

藤田保健衛生大学などを運営する「藤田学園」という学校法人が、野村証券と大和証券に計約260億円の損害賠償を求める訴訟を提起したという記事。

「提訴は4月16日付。訴状によると、藤田学園は2003~09年、両社との間で為替相場や株価の変動に伴って償還金額が変わるデリバティブ取引をした。しかし、08年のリーマン・ショック後の円高や株価下落で、11年末までに野村証券との取引で93億円、大和証券との取引で143億円の損失が生じたという。

学園側は、十分な知識がない学園に対してリスクの説明が不十分なまま、過大な取引を勧誘したと主張している。」

この大学のサイトをみると、附属病院をいくつか持っており、かなり大きな規模の法人のようです。カネはあるが投資に関する知識経験がないということで、カモにされてしまったのでしょう。

多くの学校法人には公の補助金が投入されています。デリバティブ取引や仕組み債など危険な投資をやっている法人には、補助金をストップすべきでしょう。そうしないと税金が損失の穴埋めに使われないとも限りません。

大学や宗教法人は「プロ投資家」といえるか 駒大など資産運用で損失…(夕刊フジ)

こちらは、駒澤大学が同じような訴訟でドイツ証券に敗訴したという記事。

「駒大は2007年に資産運用の一環として「通貨スワップ」と呼ばれるデリバティブ取引を契約、ドイツ証券との間で米ドルと円を交換する取引を始めたが、直後の世界的な金融危機による急激な円高で損失が拡大。担保の資金追加を何度も求められたため「双方の義務・責任は終了する」との英文の確認書を交わして08年に解約すると、清算金として63億円超の支払いを強いられた。この解約について、駒大は「取引は公序良俗に違反し、確認書の文面は曖昧で無効」と主張したが、判決では「(確認書の文面は)曖昧とはいえず、契約上、駒沢大の賠償請求権は消滅している」とされた。」

勧誘されたときは見栄えのよい資料でだまされたのでしょうが、解約するとなると英文の確認書に(わけもわからず?)サインしてしまったということでしょうか。

「借り入れがほとんどなく余裕資金が豊富な大学や宗教法人は資産運用に積極的なことで知られている。「リスク度の高いデリバティブ商品投資にも前向きだった」(外資系証券)という。だが、高いリターンに着目するあまり、リスクの見極めが十分に行われていたかどうかは疑問だ。訴訟の焦点は、果たして大学や宗教法人がプロの投資家といえるのかどうか、投資に際して解約時の条件も含めのリスクをどこまで把握していたのか、「適合性の原則」が問われている。」

こちらは学校法人もどんどん投資(デリバティブも含む)をやれというコラム記事。鵜呑みにするとカモになります。投資するのはよいのですが、プロの真似はやめたほうがよいでしょう。

宗教法人や学校法人が財産運用するのは好ましくないのか?日本もそろそろ資産大国から運用大国へ!GPIFの運用資産を新分野への投資などに回せるよう制度改革すべきか?(現代ビジネス)
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