東芝事件総決算 会計と監査から解明する不正の実相 久保 惠一 日本経済新聞出版社 2018-06-16 by G-Tools |
(宣伝文より)
「本書は、会計士の著者が、事件の発端から現在までを分析、平易な言葉で事件の本質を解説するもの。そこから、会計や監査の諸問題を明らかにしていきます。過去の経緯を振り返り、会計・監査面から様々な決算・財務情報を正確に分析、東芝事件の総決算を行います。」
以下のような内容です。
「第1章 発覚した会計不正
第2章 第三者委員会が指摘した4つの事案
第3章 ウェスチングハウスの買収
第4章 取り消されていた減損
第5章 原発工事会社の買収と運転資本不足
第6章 巨額減損の発表
第7章 ウェスチングハウスの破綻と連結除外
第8章 結論不表明と限定付き適正意見
第9章 債務超過回避策と危機の収束
第10章 上場廃止にしなかった東証の判断」
東芝の第三者委員会や当局による処分で明らかとなった不正会計問題だけでなく、不正とはされていないウェスチングハウスの減損問題、原発工事会社買収による巨額損失問題なども扱っているようです。会計・監査面を専門家の目で書いているようですから、期待できます。
もっとも、著者は、監査法人トーマツの幹部だった人ですから、トーマツが監査法人対策などを東芝に指南していた話などは取り上げられていないのでしょう。東芝寄りの記述になっているおそれはありそうです。
また、この本のタイトルどおり、現段階で東芝事件を総決算してしまっていいのかという疑問は感じます。あらた監査法人が指摘した最大6千億円の粉飾疑惑はまだ解決していないわけですから、せいぜい中間決算というところでしょう。