8月17日の日経によると、現在米国基準を採用しているホンダが、2015年3月期からIFRSに変更するそうです。
「ホンダは2015年3月期をメドに、財務諸表に国際会計基準(IFRS)を適用する。海外拠点を含むグループ内で会計の物差しを統一し、経営管理の効率化などにつなげる。」
「メドに」というのが少しあいまいです。日経が得意としているフライングでしょうか。
記事によれば、「IFRSへの一本化で経営管理の実務上のメリットが大きいとみている」そうでですが、一方で、国内の関係会社については「系列挙げての一斉移行とはならない見通し。ホンダも各社の判断に委ねる方針」とのことなので、少し矛盾しています。海外はともかく、国内は、そもそも親会社ですら単体は日本基準で作成しなければならないので、子会社や関連会社までやらせるのは、難しい面もあるのかもしれません。従来も米国基準への修正を親会社の連結作業の中でやっていたとすれば、IFRSだからといって、そのやり方を大きく変える必要はないでしょう。
また、IFRSと日本基準で差が出るような取引や会計処理方法を、子会社や関連会社に極力やらせないようにすれば、連結作業は楽になります。この日経記事によれば、ホンダは2012年3月期から減価償却方法を、国内子会社、関連会社も含めて、定額法に変更しているそうです。日本基準で認められる範囲で、なるべくIFRS採用会社の一般的な処理方法に合わせていこうということでしょう。
記事では、ホンダの動きは「膠着している国内でのIFRS導入を巡る議論にも一石を投じそうだ」と書いていますが、米国基準からの移行ですから、普通の上場会社にはインパクトはなさそうです。しかし、少なくとも、反IFRSの審議会委員を出している三菱電機(米国基準採用会社)の仲間は1社減ることになります。
なお、8月19日現在、IFRSへの移行について、ホンダからの正式発表はなされていません。
2012年度 第1四半期報告書(PDFファイル)
ホンダの第1四半期報告書では、定額法への変更理由について以下のように書いています。
「近年、グローバル戦略機種の販売が増加していることから、当社はグローバルでの需要の変化に柔軟に対応した生産体制の整備を行い、生産設備を汎用化し、より安定的な生産体制の構築を進めています。このようななか、当社は2008年度の金融危機以降抑えていた設備投資を、当連結会計年度より本格的に再開しています。その結果、今後は有形固定資産の安定的な使用と平準化された経済的便益が創出されることから、減価償却方法は定額法がより望ましいと考え、変更を実施しました。」
なんだか取ってつけたような変更理由ですが、書きようがないのでしょう。
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