goo blog サービス終了のお知らせ 

会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

IASBとFASBが減損会計に関する共通の解決策を提案(IASB)

IASBとFASBが減損会計に関する共通の解決策を提案
―両審議会が金融商品会計の基本的な局面に対応―


国際会計基準審議会(IASB)と米国の財務会計基準審議会(FASB)は、金融資産の減損に関する会計処理基準案を、今年1月末に共同で提案しました。そのプレスリリースの翻訳が、財務会計基準機構のサイトで公表されています。

この共同提案は、IASBの公開草案(2009年11月公表)とFASBの別個の公開草案(2010年5月公表)を補足するものです。

もともとの案は予想損失モデルへの移行を提案するものでしたが、今回の案では、そのアプローチは引き継ぎつつ、運用上の問題に対処したとされています。

なお、(IFRSでは)時価評価される金融資産は減損処理を考える必要がないので、対象は償却原価で計上される資産ということになります。また、短期の営業債権は、今回の提案の対象外だそうです。

提案の要約(IASB Snapshot)(英文)(PDFファイル)

IASBの資料によると、今回の案では、健全債権(good book)と不良債権(bad book)に区別したうえで、健全債権は、予想損失を期間比例(time-proportional)アプローチを使って時の経過に応じて認識し、不良債権は、予想損失をただちに認識することになっています。

For the ‘good book’, expected losses are recognised over time, using a ‘time-proportional’ approach. For the ‘bad book’, expected losses are recognised immediately.

ただし、期間比例アプローチを適用する場合でも、ポートフォリオの中で期間の初期にデフォルトが集中するようなケースがあるので、引き当てるべき最低限の金額が定められています。

To address this concern, the boards decided that it was necessary to set a minimum allowance balance (a floor). So, the allowance balance for the ‘good book’ will be the greater of:

(a) the time-proportional amount (as described above), and;

(b) the expected losses for the foreseeable future (the floor).

IASBの案とFASBの案は、予想損失をいつ認識するか(IASB案は金融商品の期間にわたって認識、FASB案は金融商品の当初認識時に認識)という点で異なっていましたが、コンバージェンスのために歩み寄ったようです。

The IASB maintained that expected losses should be recognised over the life of the instruments, whereas the FASB continued to believe that expected losses should be recognised in the period of the assets’ initial recognition.

デフォルトのリスクが高い(予想損失が大きい)貸付金は、高い利率の収益を生むわけですが、期間比例アプローチというのは、その高い収益に予想損失をうまく対応させようという考え方なのでしょう。その背景には、今回の金融危機で減損処理のタイミングが遅かった(だから金融機関や投資家がリスクは高いが利回りのよい融資・投資にのめりこんでいった?)という見方があるようです。

日本の基準では、金融機関が貸付を行った途端に引当金の繰り入れが発生するので、超保守主義なのかもしれません(他では甘い点があるかもしれませんが)。

IASB and FASB propose common solution for impairment accounting
31 January 2011
(プレスリリースの原文)

IASBとFASBによる金融資産の減損に関する共同提案(新日本監査法人)

↑比較的詳しい解説が新日本のサイトに掲載されています。

IASB and US FASB propose a joint approach to accounting for credit losses(E&Y)(PDFファイル)

新日本の解説の原文と思われる資料です。Lifetimeを「残存期間」と訳しているようです。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事