11月12日に開催された企業会計審議会監査部会の議事録が公開されています。
この日は、財務諸表以外の「その他の記載内容」に関する監査人の対応について、事務局と会計士協会の参考人から説明があり、その後意見交換があったようです。(議事次第や会議資料はこちら→当サイトの関連記事))
意見交換・質疑応答では、適用時期(2022年3月期か2021年3月期か)、会社法監査での扱い(対象とする書類の範囲など)などの議論があったようです。
来年の監査基準改正の主なものは、これだけでしょう。国際監査基準(ISA)720をベースにした改正となるので、ビッグ4のマニュアルを使っている大手監査法人は、大きな影響はなさそうです。ただし、最近有報のコーポレートガバナンスに関する記載不備の摘発例が出てきたので、その関係で監査人の責任が問われるようになるおそれはあります(基準上は保証の対象外になるはずですが)。
(そのほか、監査基準制定済みのものとしては、KAMの導入があります。)
委員の発言で、監査人の責任についてふれた部分。
「これは会計監査人の方にとって非常に重大な問題であり、かつ、それは反射的に、作成者にとっても影響があるというのが、重要な虚偽記載の兆候があると判断したときにどの程度のことを監査人はしなければならないのかという点です。ごくまれなケースであるにしても、その局面で監査人が責任を負うということになると、監査手続と呼ぶべきかはともかく、何らかの手続を行わなければならないということになる可能性があります。会社法の観点からは、意見を表明するものではないというだけでは会社法429条2項の責任の発生余地がなくなるわけではなく、会社法上は、あくまでも、監査報告書、すなわち、会計監査報告に記載すべき事項について虚偽記載があれば、会計監査人は責任を負う可能性があります。小倉参考人もおっしゃっていましたように、兆候がある場合に監査人は何をしなければならないのか、また、兆候がないときは追加的な手続は求められないのだということを、明確化することが会計監査人の責任を適切な範囲におさめ、かつ、被監査会社にとってもよいことになるのではないかと感じております。」(弥永委員)
「実は、グローバルには、もう次の段階の議論が起きているんですね。イギリスで昨年1月に起きたカリリオン事件を踏まえて、イギリスでは監査改革が始まっていて、その中で、議会では、ブライドン・レビューと呼ばれる報告書が公表されています。その中では、「その他の記載内容」のところについて、監査人の監査手続が明確かつ詳細に決められていなかったことが問題なんじゃないかという問題提起がされています。先ほどのご説明でいえば、例えば、虚偽表示の兆候の部分ですね。それを見つけたときに、どういう手続をするんだという話、これは小倉参考人も問題だとおっしゃっていましたが、そこに着手し始めて、意見募集もして、おそらく今後、制度対応が図られるはずです。」(町田委員)
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