東京証券取引所は、「上場管理業務について -不適切な第三者割当の未然防止に向けて-」という事例集を公表しました。
「第三者割当に係る東証の着眼点を明示するとともに、実際の事前相談で東証が指摘を行った事例の一部を、東証の考え方とともに紹介する」という趣旨の報告書です。
報告書の最後には以下のような簡単なチェックリストが付いており、参考になります。
(1)第三者割当の必要性及び相当性並びに資金使途の合理性
(a) 第三者割当の必要性及び相当性並びに資金使途の合理性について、事業計画表や資金繰り表、資金使途が借入金返済の場合には返済計画表等を作成のうえ、十分な検討を行いましたか(事例1)。
(b) 当該第三者割当は、企業価値の向上に資することを説明できますか。
(2)発行条件等の合理性
(c) 払込金額の算定根拠及びその具体的な内容について投資者に合理的に説明できますか(事例2)。
(d) 資産の現物出資を受ける場合、その目的となる資産の評価の合理性について、資料等に基づいて自ら検討しましたか(事例3)。
(3)割当予定先の適切性
(e) 割当予定先の属性や実態について、訪問・面談等を通じて直接確認しましたか(事例4)。
(f) 割当予定先について、割当予定先から経営状況に関する資料を入手したり、割当予定先の名称等をインターネット上で検索したりするのみならず、住民票や登記事項証明書等公的機関が発行する証明書を取得したり、専門機関に割当予定先の調査を依頼したりするなどの方法により十分な確認を実施しましたか(事例4)。
(g) 割当予定先がファンドである場合、10%以上の出資者についてもその概況を確認しましたか(事例4)。
(h) 割当予定先に払込みに要する財産が存在していることを財務諸表、残高証明書、預金通帳その他財務関係書類等に基づき確認しましたか(事例5)。
(i) 割当予定先が過去に失権を起こしていませんか(事例6)。
(j) 貴社が過去に失権を生じさせている場合、その原因が解消・改善されていますか(事例6)。
(k) 割当予定先が最近貴社の株式を売買していませんか(事例7)。
(l) 割当株式に関して、割当予定先による保有方針や議決権行使に関する方針、割当予定先が譲渡をする場合の条件等について確認しましたか(事例8)。
(4)その他
(m) 予定しているスキームは第三者割当に関する開示制度等の潜脱行為と解されるものになっていませんか(事例9、事例10)。
要するに割当先がちゃんとしたところかどうかが問題なのでしょう。
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