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会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

G20、コンバージェンスの遅延について懸念を表明(トーマツより)

2013.02.17 20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、コンバージェンスの遅延について依然として懸念を表明

モスクワで開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が、コミュニケで、会計基準のコンバージェンスの遅延について「懸念(concern)」を表明したという記事。

原文はデロイトのサイト
http://www.iasplus.com/en/news/2013/02/g20

「コミュニケは、以下のように述べている。

「我々は、これまでの会計基準のコンバージェンスの遅れへの懸念に留意し、国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)に対して、高品質な単一の基準を達成するための主要な未了のプロジェクトに関する作業を2013年末までに最終化するよう要請する。」」

We note with concern the delays in the convergence of accounting standards to date and ask the IASB and the FASB to finalize by the end of 2013 their work on key outstanding projects for achieving a single set of high-quality standards.

コンバージェンス全般ということではなく、「主要な未了のプロジェクトに関する作業」を2013年末までに完了させることを要請しているようです。

それでは「主要な未了のプロジェクト」とは何かということになりますが、トーマツの記事の後半部分によれば、貸付金の減損と保険契約(その中でも前者)のようです。

「IASB‐FASBの報告書は、金融安定理事会(FSB)によって会議に提出された。「金融規制改革の進展(Progress of Financial Regulatory Reforms)」と題するFSB議長のレターの中で発表された、本報告書に添付のFSBのサマリーと分析結果は次のとおりである。

「両審議会は、貸付金の減損と保険契約という2つの主要な未了の論点を進展させることを予定している。貸付金の減損について2013年中に審議を完了させることを予定しており、また、保険契約について、双方の審議会は、公開の協議を本年中に開催することを予定している。これらの2つの未了の論点のうち、引当金(provisioning)に関する新たな将来予測的な予想損失アプローチ(expected loss approach)のコンバージェンスの必要性はエンドユーザー及び金融安定の観点から最も差し迫った懸念事項であるといえる。我々は、これまでのコンバージェンスの遅れへの懸念に留意している。我々は、G20が、IASBとFASBに対して、減損に関する共通のアプローチへコンバージェンスするためのロードマップ、及び高品質な基準書の単一のセットというG20の目標を達成するためのロードマップを2013年末までに作成するよう提言する。」

The two Boards expect to make progress on the two key outstanding issues of impairment of loans, where they expect to complete their deliberations in 2013, and insurance contracts, where both Boards will be holding public consultations this year. Of these two outstanding issues, the need for convergence on a new forward-looking expected loss approach to provisioning is of most immediate concern for end-users and from a financial stability perspective. We note with concern the delays in convergence to date. We therefore recommend that the G20 ask the IASB and FASB to prepare by end-2013 a roadmap for converging to a common approach for impairment and for achieving the G20 objective of a single set of high quality accounting standards.

日本は、貸付金(貸出金)の減損に関して、IFRSと米国基準のコンバージェンスを待っているという状況なのでしょうか。

コミュニケについては、財務省のサイトに翻訳が掲載されています。

20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)(2013年2月15-16日 於:ロシア・モスクワ)

会計基準以外では、税に関する部分も重要でしょう。

「20.税の分野では、我々は税源浸食利益移転を扱ったOECDの報告を歓迎し、財政の持続可能性の重要な部分は、我々の歳入基盤の確保であるということを認識する。我々は税源浸食と利益移転に対処するための手法を策定し、必要な共同行動をとることを決意しており、OECDが7月に我々に示す包括的な行動計画に期待する。我々は、全ての国・地域が多国間執行共助条約に署名するよう強く奨励する。・・・」

In the tax area, we welcome the OECD report on addressing base erosion and profit shifting and acknowledge that an important part of fiscal sustainability is securing our revenue bases. We are determined to develop measures to address base erosion and profit shifting, take necessary collective actions and look forward to the comprehensive action plan the OECD will present to us in July. We strongly encourage all jurisdictions to sign the Multilateral Convention on Mutual Administrative Assistance.

多国籍企業の租税回避に対する風当たりはより強くなるかもしれません(日本を除く?)。

トーマツの記事でもふれていますが、政府の債務に関連して「公的セクターの報告の透明性と比較可能性」ということもいっています。

「公的セクターのバランスシートを強化するという我々の目標を追求するため、公的債務の持続可能性に対するリスクをより良く評価するための作業が必要である。これは、特に、国ごとの状況を考慮に入れ、公的セクターの報告の透明性と比較可能性を検討し、金融セクターの脆弱性に起因する公的債務への波及効果をモニターすることを含む。我々は、IMFと世界銀行が各々のマンデートに従ってこれらの問題に関して進めている作業の更新を期待する。」

たぶん、主に、欧州金融危機の原因となっているような国々のことをいっているのでしょうが、日本の公会計の「透明性と比較可能性」はどの程度なのでしょう。

金融安定理事会によるG20財務大臣・中央銀行総裁会議への報告書の公表について(金融庁)(←翻訳はなし)

日本でも? 英独「スタバ・Apple納税を」 多国籍企業、租税回避の実態 (SankeiBiz)(2012年11月)

Angry U.K. Lawmakers Confront Starbucks CFO(CFO)(2012年11月)
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