kage日記 読書&お仕事編

読書記録、仕事雑感(愚痴?)

読書記録

2021-12-01 23:51:11 | 読書記録

レストラン「ドイツ亭」

アネッテ・ヘス/著

ナチスによるホロコーストについては、二度と犯してはならない歴史的事象として、世界的に誰もが知る事実であると思っていた。しかし、当のドイツでは、戦後20年あまり隠されてきて、戦後の若者たちはその事実を知らずに育ってきた、という事にまず驚いた。そして、その罪を裁く裁判がドイツで行われた、ということも知らなかった。興味本位で通訳として、その裁判にかかわることになったエーファは、アウシュビッツを生き抜いた証人たちの証言を、信じられないものとして聞く。そしてそれを全くでたらめだ、としらを切る被告人たち。収容所でガス室での大量虐殺の話は、まさかそんなたくさんの人を一度に殺せるはずがない、と裁判官すら半信半疑で、裁判にかかわる皆で実際にアウシュビッツに足を運び、その証言が真実だったということを知るのだ。事実を知るにつれ、自分の家族の秘密もわかり、恋人とのかかわり方にもひずみが生じてくる。

エーファはあまりにもまっすぐで、収容所で調理人として働いていた親を許すことができず、家を出てしまう。しかし、私が親の立場だったらどうするだろうか。ナチスに協力することでしか家族を守りえなかったら、従うしかないのだろうか。最後、ハッピーエンドになりそうな感じで終わってくれてよかった。

そして、犯した罪は大きいが、それを自国できちんと裁いた(時間はかかったが)ドイツはえらいと思った。読み応えのある本だった。

 

六人の噓つきな大学生

浅倉 秋成/著

就活をめぐる6人の大学生の話・・・と聞いて、この6人の壮絶なだましあいバトルが始まるのかと思ったら、ちょっと違った。

人気IT企業、スピラリンクスの内定者を、グループディスカッションで自分たちの中から選べ、という最終選考時に起こった「事件」の犯人は一体だれなのか?

8年後に亡くなった「犯人」が誰なのか、インタビュー形式で進む展開に、あの子が?いや彼が?と誰もが怪しく思え、疑心暗鬼になってくる。

最終的な犯人は途中であっさりわかるが、そこからが怒涛の展開で、伏線の回収がうまい。いかに我々が「人の一面しかみていないか」がよくわかる話だ。このところのネットの「炎上」もそう。いかに一面的な情報だけで物事を判断しているか、反省させられる。

いいことしか言わない企業と、いいところしか見せようとしない就活生。これでその人がどんな人物かわかるわけがないのだ。

まあ、一つだけ言えることは、こんなクソな採用方法をする企業には就職しないが吉だ、ということだね。

 

このところ本を読むスピードが遅く、あと何冊か読んだのだが、割愛。