endless 山田正亮の絵画
2016年12月6日〜2017年2月12日
東京国立近代美術館
山田正亮。1929年生、2010年没。
生涯に残した作品5,000点のうち約230点が出品される本展、たいへんなボリューム。
「描き続けたまえ 絵画との契約である」
「自らの全作品をひとかたまりのものとしてとらえ、その全体の持続性こそがまるでひとつの作品であるというような、独特な姿勢を保ち続けた」
こんな画家がいた。のですね。
約230点全体でひとつの作品、ひとつの長い物語。圧倒される。
会場は、画家の最晩年作から始まる。
「Colorシリーズ(1997-)」
・「画面のほぼ全体が単一な色彩で塗りこめられていますが、画面の周縁部分には下層にある別の色彩がのぞき、微妙なニュアンスを見せています」
会場入口の左右に4点ずつ計8点。ぼっとしてる見逃しそうな作品で、かつ、ぱっと見てもふ〜んとしか思わない。
後から振り返ると、これで画業の最期を締めようと予め計画していた感もある、究極の抽象絵画。
続いて、初期作品のコーナー。
「Still Lifeシリーズ(1948-1955)」
・お気に入りの?瓶や果物などを少しずつ配置を変えたりモデルを入れ替えてたりして繰り返し描いているらしいところは、画風は違えどモランディを想起させる。
・次第にそして突然モランディとは全く違う方向になったところでコーナーが終わる。
次のコーナーは、画家の初期から最晩年までの作品変遷のダイジェスト。
・素人にとって、ダイジェストは遭難回避の道標になってよろしいと思う。
・その一方で、道標無しで、どこへ連れていかれるのか分からないまま流されるというのも、貴重な体験になったかも。作品が時系列に並んでいるだけに。最晩年作も最初ではなく最後に置いて。迷い子になっていたかもしれないけど。
以降、「Workシリーズ(1956-1995)」が時系列に並ぶ。
・タイトルは、全シリーズ全作品共通だが、制作順のナンバリング方式。
・「Work」シリーズでは、例えば、《Work C.73》というタイトルの作品は、1960年代に描いた73番目の作品ということ。紙作品は《Work Ep.447》とpが付された別体系の番号となる。
B:1950年代
C:1960年代
D:1970年代
E:1980年代
F:1990年代
・1960〜1963年頃に制作された「横ストライク」作品、画家の代名詞らしい、が延々と続くのは圧巻。一瞬、壁紙のショールームか、アメ横のネクタイ売場にいるのか、と思うほど。
・10回ほど変遷。以下、5例。
写真撮影可の画家のアトリエ再現コーナー。1970年代の《Work Dシリーズ》ともに、時系列的には右の作品から左の作品へと変遷する。
美術館HPの展覧会動画が、作品の変遷に焦点をあてていて、面白い。
→youtube「endless 山田正亮の絵画」展 | 東京国立近代美術館
約230点全体がひとつの作品。ひとつの長い物語。圧倒される。
東近美の企画展は、今まで名前を聞いたことのない作家の回顧展の場合はパスすることが多かったが、どんな出会いが待っているか分からない、食わず嫌いはよろしくない。