「大丈夫か?」
まどろむ空気の中、もう少しで朝が明ける。
そんなある日の朝の出来事。
昨夜からの二人してシーツの波に抱かれ、先ほど息がついたところだった。
「・・・うん。」
娘のミウンはもう2歳になった。
そろそろもう一人欲しがってもいい頃。
あとは二人ともタイミングだと思っている。
「もう少しでシンの誕生日だな・・・。今年も妃殿下はケーキ、作らない気か?」
ギョンにそう聞かれ、もうそんな時期になるかとガンヒョンはふと思う。
韓国皇帝、イ・シンの妻、皇后、シン・チェギョン。
彼女はケーキ作りがとてもうまい。
ガンヒョンから言えばいつ作るのか・・・と不思議に思う。
どれだけ忙しくても小さくてもいいから彼女はケーキを作る。
それは自分の子供たちの誕生日から友人たちの誕生日、はたまたその子供たちの誕生日に宮から届くのだった。
ガンヒョンもその恩恵にあずかっている一人。
ただ知られてはいないが、というか国家秘密だろう。
そのシン・チェギョンの最愛の夫であるイ・シンは妻の手作りケーキを食べたことがない。
許されてはいないのだ。
どれだけ謝っても土下座してもチェギョンは首を振らなかった。
そして絶対にケーキを作ったらシンが苦手とするもの、アレルギーの一環だが、桃のエキスかそのなかにピーナッツを砕いて入れたりする。
だからどれだけ食べたくてもシンは手が出せないようになっている。
そこまで徹底しているのだった。
それはシンの取り巻きとして高校時代から一緒にいるイン、ギョン、ファンもいか同文だった。
数年前の皇帝の誕生日に暴露された話。
それを知っているし、当時すぐさま内容を聞いたガンヒョンにとってもあれは許せないと思った。
ガンヒョンを含むイン、ファン、ギョンのそれぞれの奥方は皇后であるチェギョンととても仲がいい。
というか団結力がすごい。
男性方はつくづく「女を敵に回してはいけない」と改めて思い知らされたことだろう。
そして食べ物の恨みはとても怖い・・・ということも。
「あの時、大人しく受け取っていたらよかったのにね。」
ガンヒョンはそれだけしか言うことができない。
それは今年も作る気がないということを示していた。
「でもね、毎年陛下に食べさせるケーキを選ぶのも大変なのよ。
それなりの検査は受けてもらわなければならないし。
合格しても不味かったら話になんないし。
舌が肥えてる人に毎年違ったケーキを差し出すのは本当に大変。」
『そこをわかってる?』と先ほどまでの甘いひと時はなんだったのか。
ギョンはガンヒョンから一睨みされる始末。
まさかあの当時の出来事がここまで引っ張られるとは誰一人思いもしなかっただろう。
――女という生き物はよく覚えてるよ・・・――
ギョンはもしこの寝室にタバコがあったら吸ってるだろうと思った。
吸いたいとも願った。
ガンヒョンとの約束で寝室にタバコを持ち込まないと決められてるから叶わないが。
「ミウンがそろそろ目が覚めるわ。」
話は終わり・・・と言わんばかりにそそくさとガウンを羽織り、浴室に向かう妻。
ギョンは「待ってくれ!」とその後を追いかけた。
「何なのよ!シャワーくらい一人で浴びたいわ」
ガンヒョンの嫌そうな顔をよそにまあまあとたまにはいいじゃないかと入っていくギョンの姿があった。
それから数日後、韓国皇帝、イ・シンの誕生日祝賀会が例年通り行われた。
来賓者を送り出した後に行われる友人たちを招いての誕生日パーティー。
そこで毎年彼の妻、チェギョンは夫とその友人たち3人を除く家族や自分の友人たちにささやかながら手作りケーキを渡していく。
今年もやはりシン、イン、ファン、ギョンは食べることが許されなかった。
「パパ、食べりゅ?」
小さなミウンがスプーンですくってギョンに食べさそうとしたが、つかさずガンヒョンが間に入った。
「ミウン、パパは食べることができないの。
ずっと前にパパは悪いことしたから罰を受けてるの。ママは食べれるけどね。
だからママにちょうだい!」
説得になったのかなっていないのかわからなかったが、ミウンは大人しくママの口にスプーンを差し入れた。
もし間にがんギョンが入らずそのままかわいらしさに受け取っていたら・・・。
シンからの制裁がどうだったのか、帰り着きふとギョンは最悪の状態を思い浮かべ、冷や汗をかいた。
「・・・あの時、シンからの視線が・・痛かったな・・・。」
一瞬どうしようかと考えた。
なんと言って断ろうとも思った。
「ガンヒョン、ありがとう。」
忙しそうにしている妻の後姿を見ながら呟く。
――しかし、本当に後悔先に立たず・・・だな――
あの頃に戻れるのなら自分に注意するのにな・・・・。
永遠に食べることができないだろうケーキを思い出し、ため息をついた。
おわり。
まどろむ空気の中、もう少しで朝が明ける。
そんなある日の朝の出来事。
昨夜からの二人してシーツの波に抱かれ、先ほど息がついたところだった。
「・・・うん。」
娘のミウンはもう2歳になった。
そろそろもう一人欲しがってもいい頃。
あとは二人ともタイミングだと思っている。
「もう少しでシンの誕生日だな・・・。今年も妃殿下はケーキ、作らない気か?」
ギョンにそう聞かれ、もうそんな時期になるかとガンヒョンはふと思う。
韓国皇帝、イ・シンの妻、皇后、シン・チェギョン。
彼女はケーキ作りがとてもうまい。
ガンヒョンから言えばいつ作るのか・・・と不思議に思う。
どれだけ忙しくても小さくてもいいから彼女はケーキを作る。
それは自分の子供たちの誕生日から友人たちの誕生日、はたまたその子供たちの誕生日に宮から届くのだった。
ガンヒョンもその恩恵にあずかっている一人。
ただ知られてはいないが、というか国家秘密だろう。
そのシン・チェギョンの最愛の夫であるイ・シンは妻の手作りケーキを食べたことがない。
許されてはいないのだ。
どれだけ謝っても土下座してもチェギョンは首を振らなかった。
そして絶対にケーキを作ったらシンが苦手とするもの、アレルギーの一環だが、桃のエキスかそのなかにピーナッツを砕いて入れたりする。
だからどれだけ食べたくてもシンは手が出せないようになっている。
そこまで徹底しているのだった。
それはシンの取り巻きとして高校時代から一緒にいるイン、ギョン、ファンもいか同文だった。
数年前の皇帝の誕生日に暴露された話。
それを知っているし、当時すぐさま内容を聞いたガンヒョンにとってもあれは許せないと思った。
ガンヒョンを含むイン、ファン、ギョンのそれぞれの奥方は皇后であるチェギョンととても仲がいい。
というか団結力がすごい。
男性方はつくづく「女を敵に回してはいけない」と改めて思い知らされたことだろう。
そして食べ物の恨みはとても怖い・・・ということも。
「あの時、大人しく受け取っていたらよかったのにね。」
ガンヒョンはそれだけしか言うことができない。
それは今年も作る気がないということを示していた。
「でもね、毎年陛下に食べさせるケーキを選ぶのも大変なのよ。
それなりの検査は受けてもらわなければならないし。
合格しても不味かったら話になんないし。
舌が肥えてる人に毎年違ったケーキを差し出すのは本当に大変。」
『そこをわかってる?』と先ほどまでの甘いひと時はなんだったのか。
ギョンはガンヒョンから一睨みされる始末。
まさかあの当時の出来事がここまで引っ張られるとは誰一人思いもしなかっただろう。
――女という生き物はよく覚えてるよ・・・――
ギョンはもしこの寝室にタバコがあったら吸ってるだろうと思った。
吸いたいとも願った。
ガンヒョンとの約束で寝室にタバコを持ち込まないと決められてるから叶わないが。
「ミウンがそろそろ目が覚めるわ。」
話は終わり・・・と言わんばかりにそそくさとガウンを羽織り、浴室に向かう妻。
ギョンは「待ってくれ!」とその後を追いかけた。
「何なのよ!シャワーくらい一人で浴びたいわ」
ガンヒョンの嫌そうな顔をよそにまあまあとたまにはいいじゃないかと入っていくギョンの姿があった。
それから数日後、韓国皇帝、イ・シンの誕生日祝賀会が例年通り行われた。
来賓者を送り出した後に行われる友人たちを招いての誕生日パーティー。
そこで毎年彼の妻、チェギョンは夫とその友人たち3人を除く家族や自分の友人たちにささやかながら手作りケーキを渡していく。
今年もやはりシン、イン、ファン、ギョンは食べることが許されなかった。
「パパ、食べりゅ?」
小さなミウンがスプーンですくってギョンに食べさそうとしたが、つかさずガンヒョンが間に入った。
「ミウン、パパは食べることができないの。
ずっと前にパパは悪いことしたから罰を受けてるの。ママは食べれるけどね。
だからママにちょうだい!」
説得になったのかなっていないのかわからなかったが、ミウンは大人しくママの口にスプーンを差し入れた。
もし間にがんギョンが入らずそのままかわいらしさに受け取っていたら・・・。
シンからの制裁がどうだったのか、帰り着きふとギョンは最悪の状態を思い浮かべ、冷や汗をかいた。
「・・・あの時、シンからの視線が・・痛かったな・・・。」
一瞬どうしようかと考えた。
なんと言って断ろうとも思った。
「ガンヒョン、ありがとう。」
忙しそうにしている妻の後姿を見ながら呟く。
――しかし、本当に後悔先に立たず・・・だな――
あの頃に戻れるのなら自分に注意するのにな・・・・。
永遠に食べることができないだろうケーキを思い出し、ため息をついた。
おわり。
このケーキの話を読んでホント爽快な気分になったのは言うまでも有りません。
チェギョンの味方の私にはシン君が優しくなっても
尚、許されない過去が沢山あるんだと思っておりました。
もう少し反省するべきですね・・・(爆
でも、もうそろそろ許してあげてもいいのではないか・・・?と思う時も有りますが・・・。
許す時の創作小説も少し期待しています。